マジック

守備型の選手を多く集めたロスターが結果的に功を奏す

開幕から圧倒的な強さを見せていたセルティックスに連勝し、首位から引きずり下ろしたのは、まさかのマジックでした。11月後半から12月初めにかけて9連敗を喫した時点で5勝20敗と最下位にいたチームが、そこから6連勝と一気に盛り返してきました。しかも、連勝期間中はジェイレン・サッグス、ヴェンデル・カーターjr、チューマ・オキキなど主力がケガで離脱しており、突然の連勝には驚くばかりです。

連勝を生み出した最大の要因はディフェンスの改善でした。スターターになったマーケル・フルツがマンマークの強さに加えて、長いウイングスパンで遠くからでも手を出し1.5スティールを記録すれば、ケガ人の事情によって出番をもらったアドミラル・スコフィールドとケボン・ハリスが、ガードながらフィジカルなディフェンスで相手を追い込み、ベンチメンバーの時間帯にハードな守備で相手を削るような戦いぶりを見せています。

もともとマジックは高さに強みがありましたが、そこにガード陣の強烈なプレッシャーが加わったことでドライブでの突破を許さず、抜かれたとしてもボル・ボルやモー・バンバがすさまじい高さのブロックショットで防ぎます。それまで50点を超えていたペイント内の失点が、この6試合は42.3点にまで減っており、なおかつリバウンドにも強いので確実に失点を抑えるようになってきました。

ドライブへの対応が良くインサイドを塞ぐ一方で、3ポイントシュートは多く打たれています。しかし、30%を下回る成功率に抑えており、ここでもサイズとウイングスパンによるプレッシャーが効いています。相手のシュートミスに助けられた部分もありますが、チームで最も多くのシュートチェックに出たのがセンターのモリッツ・バグナーで、2番目がパオロ・バンケロになっており、ビッグマン達が3ポイントシュートを追いかけることでミスを誘発しています。

機動力のあるビッグマンと、スピードにもフィジカルにも対応するガードが揃い、マジックのディフェンスは強力に機能し始めました。ケガ人が多く出たことで生まれた偶発的な改善ではありますが、そもそもチームとしてディフェンス力の高い選手を集めたことが、結果に繋がっています。

また、オフェンス面でもモリッツ・バグナー、バンケロ、バンバと3人のビッグマンが3ポイントシュート成功率40%を超えたことで、よりインサイドにスペースを作れるようになり、フランツ・バグナーやコール・アンソニーのドライブが効果的に決まるようになりました。オフェンスについては、シュートの好調さに助けられている面が大きいものの、バグナー兄弟がテンポよくパスを繋ぐことで、オフボールムーブも増えてきました。

ケガ人の多いマジックは日替わりのローテーションになってしまい、なかなか勝ちパターンが作れませんでしたが、この6連勝中はスターターだけでなくセカンドユニットの相性も良く、勝ち続けるほどディフェンスマインドが共有されてきています。リーグ最強のオフェンス力を誇るセルティックスすらも封じ込めたディフェンスのマジックが、どこまで連勝を伸ばせるのか楽しみです。