文・写真=古後登志夫

過去には優勝2回、準優勝6回の実績を誇る『大濠』は、言わずと知れた全国区の強豪校で、ウインターカップには6年連続37回目の出場となる。もっとも、1993年の大会を最後に優勝からは遠ざかっている。2013年、2014年には2年連続で決勝に進むも、いずれも明成高に敗れた。さらには『3度目の正直』での優勝を期して臨んだ昨年は、まさかの1回戦敗退。「チャレンジャーの気持ちで」と大会の準備に余念がない片峯聡太監督に話を聞いた。

『走力』と『総力』がしっかりとできれば日本一も見えてくる

──ウインターカップ開幕が近づいてきました。どのような気持ちで大会に臨みますか。

最近の全国大会で大濠は勝ちがない。ケガ人が出たり、代表に選手を出していたりで、万全な状態で全国の舞台を戦うことができず、結果も出ていません。『大濠らしさ』が全国では見せられていないので、この大会で名誉挽回したいです。

──1回戦の美濃加茂(岐阜)に勝つと北陸(福井)との対戦で、3回戦は桐光学園(神奈川)が濃厚です。組み合わせとしてはかなり厳しいと思うのですが。

去年のインターハイでは北陸に、今年のインターハイでは桐光学園にやられているので、リベンジの気持ちです。組み合わせが決まった時には選手たちに「これはリベンジマッチだ」と伝えました。初戦から気合を入れて、一つずつしっかりと戦いたいと思っています。

──日々の指導で意識している点を教えてください。

やっぱり走ること、これを一番意識しています。『走るバスケット』をいかに徹底できるか。もう一つ、私は今大会のキーワードとして2つの『ソウリョク』を挙げています。タフなゲームが続きますが、その全6試合をチーム全員の力で戦う総合力という意味での『総力』です。『走力』と『総力』、この2つがしっかりとできれば日本一も見えてくるはずです。5人だけが練習や試合で頑張るのではなく、全員しっかりと頑張らせることを心掛けて日々の練習をやっています。

──チームの一日のスケジュールはどんな感じですか?

朝7時20分に集合して、自分の心、気持ちを整える掃除から入ります。30分間のウエイトトレーニングをやって、みんなで食事です。そこから16時までは、高校生なのでしっかり授業を受けて、16時半から19時までチーム練習。あとの1時間は自主練としてシューティングなどをやります。そこから洗濯をしたり、寮生たちは食事や風呂です。それで終わりではなく、1時間は毎日寮で勉強しています。

──当たり前なのかもしれませんが、大変なスケジュールですね。

休む間もない厳しい環境で彼らはやっています。バスケットも一生懸命頑張っていますし、その他の『普通の高校生がやるべきこと』もやっています。そこは一番彼らを評価したいところだし、大濠高校としての売りだと自覚しています。

興奮と感動を届けられるような試合を展開したい

──注目選手を一人挙げていただけますか。

3年生の西田、左利きのシューターです。彼がチームのエースであり、得点源です。そういう意味で1年生の頃からある程度は試合に使ってきました。元々シュートに関しては良いものを持っていたのですが、それだけで活躍できるものではないので、本人が自分なりに考え、またアジアや世界で経験した中で、どこからでも点を取る選手になりつつあります。3ポイントシュートを含めジャンプショットもそうだし、中に切り込むドライブにも磨きがかかってきました。フォワードの西田を中心に、あとは渡嘉敷と鍵冨、この190cm前後の選手たちの得点力とディフェンス力を見ていただきたいです。

──ウインターカップには多くの観客が集まります。『大濠のここを見てほしい』という点を教えてください。

「なぜこんなに走ることができるんだろう」、「なぜこんなに頑張っているんだろう」という興奮と感動を、見ている方々に届けられるような試合を展開したいと思っています。一つひとつを一生懸命に、そして丁寧にやって、勝利をもぎ取っていきますので、応援のほど、是非よろしくお願いいたします。