秋田ノーザンハピネッツ

何度か1点差に迫られるも逆転を許さない底力を見せる

秋田ノーザンハピネッツvsアルバルク東京の水曜ナイトゲームは、連携プレーが冴え、終始自分たちのペースで試合を進めた秋田が83-69で勝利した。

秋田は序盤から長谷川暢がボールをプッシュし、テンポの良いオフェンスを展開。攻守の切り替えが早くトランジションオフェンスも有効だったが、それ以上に人とボールがよく動くハーフコートオフェンスが機能した。スクリーンを確実にヒットさせてズレを作り、オフェンス優位な状況からイージーシュートを連発していく。特に古川孝敏は相手の裏をかいたバックカットからフリーのレイアップを次々と成功させていった。

守ってはボールへの執着心で上回り、フィフティ・フィフティのボールを渡さない。さらにパスコースを先読みし、駆け引きからインサイドへのパスをシャットアウトするなど、高い集中力で失点を防ぎ27-20とリードした。

第2クォーターに入り、ここまでオフェンスの起点となってアシストを連発し、ディフェンスでもタフなマッチアップを耐えてきたスティーブ・ザックを休ませたが、代わりに入った王偉嘉がドライブで得点し、アレックス・カークのゴール下を粘りの守備で落とさせるなど見事な繋ぎを見せた。終盤にジャスティン・コブスに連続で3ポイントシュートを決められたものの、崩れることなく44-39で前半を終えた。

しかし後半に入ると、前線からプレッシャーをかけられ、リズムを狂わされたことで得点が伸び悩んだ。開始2分には、セバスチャン・サイズにボールを奪われ、そのままコースト・トゥ・コーストを食らい1点差に迫られた。それでもこのピンチを田口成浩が救った。ライアン・ロシターの速攻をファウルをせずに守り切ると、ロシターの戻りが遅れてアウトナンバーになった瞬間を見逃さずに田口が3ポイントシュートを射抜いた。その後も内外から得点を重ね、このクォーターだけで10得点を挙げた田口の活躍もあり、リードを拡大。秋田はアグレッシブさが裏目に出て、開始4分でチームファウルが5に達したが、そこから集中力が増し、無駄なファウルをすることなく強度だけを保ち窮地を脱した。

そして、ここまで重ねてきた我慢が最終クォーターに爆発する。誰もが集中力を欠くことなくタフなディフェンスを継続し、オフェンスも最後までチームプレーが機能した。また、インサイド陣だけではなくガード陣もオフェンスリバウンドに飛び込んでポゼッションを増やし、ボールムーブが停滞した時にはチームのリーディングスコアラーであるスタントン・キッドが個で打開していった。残り3分半、伊藤駿のオフェンスリバウンドをキッドの得点に繋げ、15点差にしたところで勝負アリ。すべてが噛み合った秋田が大事な最終クォーターを22-14で上回り、快勝を収めた。

敗れたA東京の指揮官、デイニアス・アドマイティスはこのように試合を振り返った。「1対1のところで、数多くのカットからイージーな得点を与えてしまったことが敗因です。また、15本のオフェンスリバウンドは取られすぎだと感じていますし、何よりも秋田さんのエネルギーを止めることができなかったことが負けに繋がったと思います」

一方、秋田の指揮を執ったアシスタントコーチのケビン・ブラスウェルは、自分たちのペースで試合が運べたことを勝因に挙げた。「カットプレーもそうですし、今日の試合はオフェンスが大きかったと思います。何よりも自分たちのペースでオフェンスのリズムが作れました。アルバルクさんはどちらかというとスローペースで、一つひとつのセットプレーをやっていくチームだと思いますが、そのペースに乗らずに、自分たちの速いペースでどんどんポゼッションを増やすことを試合を通してできたことが一番大きかったと思います」

クラブ史上最多となる4951人の観客が駆け付けたこのタイミングで、今シーズン初のホームでの勝利を挙げた秋田。連勝も今シーズン最長の3に伸ばし、ここから上昇気流に乗りそうな予感だ。