初のリーグ優勝も通過点、「良い形でインカレに入れるように闘志を燃やす」

今年の関東大学バスケットボールリーグ男子1部は昨日、最終戦が行われ白鷗大学が22勝4敗で初のチャンピオンに輝いた。コロナ禍の影響を受けて一昨年はトーナメント形式で実施され、昨年は1回戦総当たりの全11試合だったリーグ戦だが、今年は1部のチーム数が12から14に増える中で2回戦総当たりの全26試合と、前年から2倍以上の試合数に増加した。

かつてない過酷なスケジュールとなり、これまで以上に総合力が問われる中で激闘を制した白鷗大のキャプテン、ギバ賢キダビングは優勝の喜びを噛み締めるとともに早くも約1カ月後に控えるインカレへと気持ちを切り替えている。

「素直にうれしいですが、自分たちは4敗していて負けた相手(大東文化大、日本大、東海大、専修大)がインカレで強敵になってきます。リーグ戦を戦う中で課題も多く見つかったので、これからもっと練習をして良い形でインカレに入れるようにみんなで闘志を燃やして頑張りたいです」

昨年、白鷗大はインカレ決勝で大本命の東海大を撃破して初の日本一に輝いた。今年のチームも昨年から主力として活躍している関屋心、脇真大の2大エースに加え、激しいディフェンスが光る杉山裕介、1年生ビッグマンのジョエル・モンガなど攻守にタレントが揃っている。ただ、いくらタレントが揃っていても長丁場のリーグ戦において故障者などアクシデントはつきもので、安定したパフォーマンスを発揮するのは簡単なことではない。白鷗大が大きく崩れることなく、質の高いプレーを続けることができたのは主将であるギバを中心にチームがしっかり一つにまとまることができていたからだ。

「見えない部分は自分が全部カバーしてきたいと思います」

大学界最高峰である関東1部の主力メンバーと言えば、高校時代から全国での実績十分な選手たちが大半だ。そんな中、常総学院出身のギバは「高校までを見るとAチーム、Bチームをあわせても自分が一番実績はないです」と自らを評する。

だが、そこから地道な努力を積み重ねることで成長し、大学界を代表する強豪のキャプテンを任せられるまでになった。「日頃からやりがいと誇りを常に持ってキャプテンをやらせてもらっています。ただ、正直自分は一人でチームを引っ張っていけるような人間ではないと思っています。そんな自分でもキャプテンができているのはチームメートをはじめ、自分を信じてくださっている網野(友雄)さんやコーチングスタッフなど周りのおかげです」

このように謙遜し、周囲の支えがあるからこそ主将の役割を担えているとギバ本人は強調するが、周りを積極的に巻き込んでチームを一つにまとめあげるのもリーダーシップの一つの形であり、優れた資質だ。また、プレーヤーとしてはフィジカルの強さを生かしたタフなディフェンスが持ち味であり、好不調の波が少ないことも含め指揮官にとって起用しやすい貴重な存在だ。

「先輩たちが残してくれた記録が偉大で周りの期待も大きいので、リーグ優勝でホッとしているところもあります。ただ、昨年の記録を超えるためにもリーグ優勝に続き、インカレで連覇をしたいです」

このように連覇への強い決意を語るギバは、インカレまでにやるべきことを次のように考える。「今までやってきたことを続け、今回のリーグ戦で出た課題を修正していきます。チームの雰囲気が悪い時に引っ張っていける選手が、4年生だけでなくいろいろな学年からどんどん出てくるような環境作りをしていきたいです」

そして自身の役割について続ける。「自分は表に立つような選手ではないので、裏から支える縁の下の力持ちのような存在になりたいです。プレーでもそうですし、コミュニケーションなど常日頃の行いでチームの模範になるような先輩を目指して、コートに出たらあきらめず、声を出し続けることを体現していきます。オフェンスは脇や(関屋)心、ディフェンスは杉山などが率いてくれるので、見えない部分は自分が全部カバーしてきたいと思います」

本人が思っている以上にギバのリーダーシップはすでにチームの大きな柱となっており、縁の下の力持ちとしてチームをしっかり支えている。堅守とハードワークという白鷗大のスタイルを体現する彼のプレーは、記録には残らなくてもその姿を見た人の記憶にはしっかりと残っている。白鷗大がインカレ連覇を果たすためにコート内外において彼の存在は欠かせない。