吉井裕鷹

仙台のビッグラインナップ対策もあり、シーズン最長の出場時間を得て期待に応える

10月26日、アルバルク東京はホームで仙台89ERSを迎え撃つと71-54で快勝し、連勝を3に伸ばした。この試合でA東京は前半をわずか18失点に抑えるなど、試合序盤から堅いディフェンスを維持したのが最大の勝因だった。

仙台の大きな武器として帰化枠の小寺ハミルトンゲイリーと外国籍選手2名を同時に使うビッグラインナップがあるが、A東京はそれを上手く封じており、その立役者となったのが吉井裕鷹だ。外国籍選手とのマッチアップでも当たり負けせずに相手のインサイドアタックに対応すると、オフェンスでは3ポイントシュートに加え、ドライブからバスケット・カウントを奪う奮闘ぶりで、ともにシーズン最多となる16分27秒出場で8得点を挙げた。

「仙台さんは3ビッグを使ってくるので出番があると言ってもらっていて、個人的にずっと準備をしていました。チームは勝つことができて、個人的にも悪くない結果で終われて良かったと思います」

吉井はこのように試合を振り返り、指揮官デイニアス・アドマイティスも次のように活躍を評価している。「特にベンチから出る若い選手は、まずディフェンスのミスをしないこととプラン通りにプレーすれば、プレータイムは伸びていきます。今日に関しては非常に良い働きをしました。(ネイサン)ブース選手に3ポイントシュートを1本決められた部分以外は、ほとんどのケースで良い仕事をして貢献してくれました。吉井がこのようなプレーをどんどんしてプレータイムが増えていき、チームにもプラスの影響を与えてくれると信じています」

昨シーズン終盤、吉井は外国籍選手の故障離脱もあってプレータイムを得ると、与えられたチャンスでしっかり結果を残した。この活躍ぶりが評価されて今夏には日本代表に招集された。196cmのサイズとフィジカルの強さ、機動力を兼備したフォワードとして重宝され、ワールドカップ予選とアジアカップに出場。11月1日から始まるWindow5の直前合宿メンバーにも選出されており、代表でも確固たるポジションを獲得するまでに飛躍を遂げている。

だが、代表に選ばれ続けていたことでA東京への合流はシーズン開幕直前と遅れ、新指揮官アドマイティスによる新たな戦術を習得し、アジャストするための十分な時間がないまま開幕を迎えざるを得なかった。こういった背景もあって、吉井は開幕から安定したプレータイムをつかむことができずにいる。これはある意味で致し方ない状況と言えるが、吉井はそれを言い訳にするつもりは全くない。

「正直、シーズン開幕からアジャストできるようにしないといけないですし、ヘッドコーチが言っていることを理解して常に求められ続ける選手になりたいです。やっぱり僕自身がまだアジャストできていないことで、試合に出るという貢献をできていないところがあります。(チーム合流が遅れたから)仕方ないとは思わず、1試合でも1秒でも多くプレータイムをもらって結果を出し続けたい思いがあります」

吉井裕鷹

「一つでもミスをしたら試合に出させてもらえない状況はありえる」

だからこそ、10月23日の宇都宮ブレックス戦を60-57で競り勝ち、今シーズン初の同一カード連勝を達成したことにうれしさはある一方、この試合で出場機会なしに終わったことは自分の不甲斐なさが原因と悔しさを隠さない。「チームは勝ちましたが、心から喜べるとはならなかったです」

こういった高い意識を持つ吉井だからこそ、冒頭で触れたようにヘッドコーチが評価した今回のパフォーマンスについても納得していない。「外国籍選手とマッチアップしてファウルがかさんでしまうのは仕方がないことかもしれないですけど、そこは僕自身の力不足で今日もファウルアウトしてしまいました。1対1で守れていないのは、ヘッドコーチが出しづらい要因なのかと思います」

外野から見れば、今の吉井は順調にステップアップを果たしているリーグ屈指のライジングスターだが、本人にそういった思いがないことは明らかだ。「昨シーズンもライアン(ロシター)がケガをするまでは出場機会が少なかったです。機会をもらったとしても毎回、自分の仕事をやり続けないといけないと常に危機感を持っています」

今週末の天皇杯3次ラウンドについても、吉井は次のような覚悟を持って臨む。「天皇杯だからといって僕の仕事が変わることはないですし、ヘッドコーチが求めることをしっかりやり続けるだけです。一つでもミスをしたら試合に出させてもらえない状況はありえると思うので、常にプレータイムを勝ち取れるように頑張っていきたいです」

代表ウィークによる中断を来て11月19日にBリーグが再開すると、平日ゲームがどんどん入る過密日程が続いていく。過去2シーズンは主力の故障に苦しめられたA東京だけに、このタフなスケジュールを乗り切りチャンピオンシップを万全の状態で迎えるためにプレータイムをシェアすることの重要さは身をもって実感している。そして、インサイド陣の負担を軽減させるためのキーマンは吉井となる。貪欲にプレータイムを求め己に厳しい彼ならば、この重要や役割を遂行できると感じさせる今回のプレーであり、試合後のコメントだった。