トレイルブレイザーズ

起用法を誤ればアンバランスにも成り得るロスター、指揮官の手腕が重要に

デイミアン・リラードの離脱を機にCJ・マッカラムをトレードし、チームを作り替えることにしたトレイルブレイザーズはアンファニー・サイモンズとユスフ・ヌルキッチの2人と長期契約を締結し、『リラード最終章』とでもいうべき中期計画をスタートさせました。中心選手だけを見れば継続路線ですが、他に2年以上在籍しているのはナシール・リトルのみになっており、ロスターの大部分が入れ替わりました。

特にウイングにはジェレミー・グラントが加わり、リラードに次ぐエースとしても、ディフェンダーとしても大きな期待がかかります。ピストンズでエースとして1on1での仕掛けも経験しており、これまでガードのアタック中心だったブレイザーズに新たな武器をもたらしてくれるはずです。

他にもリトル、ジャスティス・ウィンスロー、ジョシュ・ハートと攻守に働くウイングが揃っており、また2年目のトレンドン・ワトフォードをセンターに置けば、機動力溢れるフロントコートが揃いスモールラインナップも使えます。逆にポジションをスライドさせて、リラード以外をサイズのある選手で固めてディフェンシブラインナップにすることも可能となり、対戦相手の特徴に応じて柔軟な戦い方ができるなど、チームとしての可能性は大きく広がりました。

また、ドラフトでは2003年生まれのシャンドン・シャープを指名しました。リラードと13歳も離れたシャープは世代No.1プレーヤーとして高い評価を受けており、将来のエースになりえる存在です。シャープがベンチスコアラーとして台頭すれば、ブレイザーズは西カンファレンスのエリートチームの座へ返り咲き、再び優勝を目指したシーズンになるはずです。

懸念されるのは昨シーズンから指揮を執るチャウンシー・ビラップスの采配かもしれません。ブレイザーズをプレーオフ常連チームにしたテリー・ストッツからバトンタッチし、変革が求められた昨シーズンでしたが、具体的な変化を起こせないまま、リラードとマッカラムが離脱してしまい、若手に経験こそ積ませたものの、試合展開に応じた采配ができるのかは未知数なままです。層が厚くなり、攻守にバランスが取れる選手が集まった一方で、起用法を誤ればアンバランスにも成り得るロスターのため、ヘッドコーチの手腕が重要になります。

マッカラムというスターを放出し、長く続いたガードコンビによるチーム構築は終わりましたが、その代わりブレイザーズには様々な可能性が生まれました。この可能性を「成果」へと繋げていくのが今シーズンの課題です。オフェンス力一辺倒で勝負していた戦い方から、攻守にバランスが取れた柔軟な戦い方へとシフトできるのかが注目されます。