オコエ桃仁花

チームの根本的な問題「みんなが同じ方向を向けていない」

女子ワールドカップ2022、バスケットボール日本代表はグループリーグ3試合目でカナダと対戦すると、相手の堅いディフェンスを崩すことができず56-70で敗れた。これで1勝2敗と黒星先行の日本は現在グループ5位に沈んでいる。4位のセルビアも1勝2敗だが直接対決で敗れているため、同率となった場合はセルビアが上となり、上位4チームが進める決勝トーナメントに向け崖っぷちの状況となった。

この試合、日本は立ち上がりこそ互角の戦いを演じたが、第1クォーター終盤にかけてリードを許すと、あとは終始カナダに主導権を握られ、スコア以上の完敗と言える内容だった。オコエ桃仁花は、次のように危機感をあらわにする。「この点差はしっかり受け止めないといけない現実だと思います。みんなが同じ方向を向けていない。チーム力が日本の武器なのに、それを出せていないのが課題だと思っています」

トム・ホーバスの下、東京五輪で銀メダルを獲得した日本代表は、一つひとつの細かい状況において、どの選手がどんな動きをしないといけないのか明確なルールを決める規律重視だった。これをチームに浸透させたことで5人が連動し、世界を沸かせたチームバスケットを実現させたのは記憶に新しい。

一方、五輪後に発足した恩塚享ヘッドコーチの下では、ホーバス時代と違って決まりごとは少なく、それぞれの局面に応じて選手たちの判断力に任せられている。これがうまく機能すれば、まさに変幻自在のバスケットボールとなり、相手にとって対応するのは東京五輪のチームよりも困難になる。ただ、選手の判断力に委ねるからこそ、細かいルールを決めるチームより、5人全員で同じ方向を向くのは難しい。この弱点を露呈したのが今回のカナダ戦となった。

オコエ桃仁花

約束事が少ないチームになったことで、攻撃のバリエーションが少なくなっている現実

今のチームは皮肉にも選手の判断に任せることで攻撃のオプションが少なく、創造性に欠けてしまっている。そしてタイムシェアによって選手交代を頻繁に行うことは、コート上の5人が意思統一を図りにくい要因にもなってしまっている。その結果、起点となるポイントガードを相手に徹底的に潰されると、すぐに後手に回ってしまう。オコエも「引き出しが少なすぎでガードがディナイされたら、日本のプレーは止まってしまっています」と言う。

そして、オフェンス最大の武器である3ポイントシュートについても本数は打てているが、その中身は決して良くはないと続ける。「シューターのアテンプトが少ないのは何でなのか。宮澤(夕貴)選手のアテンプトは少ないし、自分も今日は打てましたが(5本中3本成功)、そういうところも突き詰めないといけないです」

グループリーグは残り2試合でフランス、オーストラリアと厳しい相手が続く。だが、「オリンピック出場は甘くないですし、そのためにもワールドカップでステップを踏んで行くことが大事です」とオコエが語るように、ここからカムバックできるかどうかはパリ五輪に向けた道のりにおいても大きな意味を持つ。

「コートの5人が同じ方向を向くことにまずフォーカスしていきたいです」。オコエは本日のフランス戦に向けてこのように意気込みを語ってくれた。いろいろな課題はあるが、まずは日本らしいチーム力を取り戻すことで逆襲の一歩を踏み出してもらいたい。そして、得意の3ポイントシュートで、オコエがチームの起爆剤となることを期待したい。