ルカ・ドンチッチ

それでも『ドンチッチのワンマンチーム』であることは事実

昨シーズンのマーベリックスはレギュラーシーズンでは52勝30敗で西カンファレンスの4位、プレーオフではカンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだ。これは優勝した2010-11シーズン以来の成績となる。

だが、新シーズン開幕を控えて、マブスの評価は必ずしも高くない。これはオールスター級の選手の補強がなく、目立たないオフを過ごしたからだろう。また、28.4得点を記録したルカ・ドンチッチに次ぐ攻撃のオプションでとして16.3得点を挙げていたジェイレン・ブランソンの退団もマイナス評価となっている。

このマブスの低評価にドンチッチは納得していない。『NBA Today』に出演した彼は「ウチには優れた選手がたくさんいる。過小評価されすぎだと思う」と反論する。

「一番はドリアン・フィニー・スミスで、彼は最高のディフェンスマンであり、オープンならシュートを決める力がある。スペンサー・ディンウィディーは今シーズンに大きな役割を果たすだろう。クリスチャン・ウッドはウチにとって大きな存在になる新戦力だ」

ドンチッチの相棒探しは難しい。彼は良くも悪くも常にボールを持って『主役』を演じるため、他の選手はサポートに回り、多かれ少なかれ目立たなくなり、スタッツも落ちる。ドンチッチ加入時にはデニス・スミスJr.がコンビを組んだが、公私ともに仲が良くてもコート内では噛み合わずに退団を余儀なくされた。ベテランのJJ・バレアもドンチッチ加入とともに目立たない存在となっている。ハリソン・バーンズもエースの座を譲って放出され、クリスタプス・ポルジンギスは良いコンビになったかに思われたが、次第にドンチッチがメインであり続けるバスケを嫌がるようになり、チームを去った。

ジェイレン・ブランソンのように、ドンチッチのサポートに徹して良い仕事のできる選手こそが、マブスには必要だったのかもしれない。だがそのブランソンにしても、放出を惜しむ声が出たのはトレードが決まった後で、それまで必ずしも評価が高かったわけではない。

ドンチッチが何と言おうと、マブスは『ドンチッチと仲間たち』のチームだ。西カンファレンスを制し、NBA優勝を果たすには、今まで以上にドンチッチがチームを引っ張り、勝たせるしかない。オールスター級の選手を獲得するにしても、ドンチッチが自分主体のバスケからの脱却を受け入れ、プレースタイルを変えなければ、機能はしないだろう。マブスはその選択肢を否定し、あくまでドンチッチがメインのバスケで勝てると信じて、このチームを編成している。

名前の挙がったフィニー・スミス、ディンウィディー、ウッドはいずれもドンチッチの下でサポートを務める選手だ。結局のところ、新シーズンもマブスはドンチッチがいかに牽引できるかに懸かっている。