シモーネ・フォンテッキオ

キャプテンのダトメ「彼がいなければ、我々がここにはいない」

イタリア代表はユーロバスケット準々決勝でフランス代表に敗れた。延長戦にもつれたこの試合、45分間のうち大半はフランスがリードする展開だったが、第3クォーター終盤に逆転し、第4クォーターに優位に立っていたイタリアにとっては、勝てる試合だったし、勝たなければいけない試合だった。

不利な判定と自分たちのミス。これがイタリア代表の敗因だ。特に大きかったのは第4クォーター残り1分半、マルコ・スピッスがルディ・ゴベアのスクリーンに接触して倒れたシーンで、映像を見るとゴベアのムービングスクリーンに見える。しかし判定はスピッスのフロッピングで、テクニカルファウルを取られてイタリアのリードは5点から2点に縮まった。そして残り16秒、なおも2点リードの場面でシモーネ・フォンテッキオがフリースロー2本を得るも、どちらも決められず。さらに残り時間を守り切ることができずに同点とされた。

ヘッドコーチのジャンマルコ・ポッチェッコは、判定の是非ではなく映像を確認しなかったことを非難し、試合後に握手を求める彼から逃げるようにコートを離れたレフェリーの態度を責め、そしてフォンテッキオをかばった。

「私も現役時代にああいうシュートを外したことがある。落ち込んでいたらコーチに『お前は今まで何本のシュートを外した?』と聞かれたよ。5000本ぐらいかな、と答えたら、『それが俺たちの人生だ』と言われたよ。これは誰にでも起きること。シモーネは今夜は眠れないだろうが、私に言わせれば彼はユーロバスケットのMVPだよ。あと1カ月もすればNBAに行き、暴れまくるからちゃんと見てやってほしい」

ジャンマルコ・ポッチェッコ

「私に言わせれば彼はユーロバスケットのMVPだ」

ここで同じく会見に出ていたキャプテンのルイージ・ダトメも「シモーネがいなければ僕たちはここにいなかった。もし最後のディフェンスで守り切っていたら、彼のミスなんて誰も覚えていなかっただろう。誰も彼を責められないよ。彼がいなければ、我々がここにはいない」とシモーネをかばった。

ダトメはまた、「フランスにおめでとうと言いたい。彼らは勝利に値するチーム」と語る。「僕らは自分たちに何ができて、何ができなかったかをしっかり見直すよ。今日はみんな悲しみ、悔しがるだろうけど、この大会でセルビアやフランスのような世界最高のチームと渡り合えるレベルにあることを示せたのだから、誇りに思っていいはずだ」

「代表でプレーすることは僕たちに力を与えてくれる」とイタリアのキャプテンは続ける。「その力で勝ったり、今日のような試合ができたりする。ミラノの会場から、自宅のテレビの前から僕たちを応援し、一緒に盛り上げてくれたすべてのファンに感謝したい」

イタリア代表は長い低迷期にあっただけに、昨年の東京オリンピックに続いて2年連続で一定の成果を挙げたことには大きな意味がある。ポッチェッコは言う。「イタリアバスケットボールは肥沃な大地だ。今回、代表にすべてを捧げてくれた12人の選手が我々の未来を示してくれた。これからチームをどう改善し、継続的な成長に持っていくか、しっかり話し合っていくつもりだ」

不本意な負け方だったかもしれないが、収穫は大きい。イタリアは美しき敗者として大会を去る。