ゾーンに入った第2クォーターに17得点の荒稼ぎ
横浜ビー・コルセアーズは昨日、サンロッカーズ渋谷との接戦を落とした。SR渋谷を指揮する伊佐勉が「前半はペースを乱しかけた」と振り返ったように、前半は完全に横浜が試合を支配し、第2クォーター中盤にはこの日最大となる22点のリードを奪った。そんな横浜の攻勢を演出したのが細谷将司だった。
第2クォーター頭から出場した細谷は、ドライブから初得点を記録すると、その後も積極的に得点を狙う。果敢なドライブからバスケット・カウントをもぎ取り、4本の3ポイントシュートを固め打ちし、このクォーターだけで17得点を稼ぎ出した。
「シュートが決まり、ドライブでバスケット・カウントが取れてレイアップも全部入りました。ゾーンに入ったという感覚はありました」と細谷は言う。
10月20日の滋賀レイクスターズ戦でも、細谷は6本の3ポイントシュートを含む22得点を挙げ、チームの初勝利に大きく貢献したが、この試合でもそのシュート力を遺憾なく発揮した。
「どこか気持ちのズレというものがあった」
だが、前半の大量リードが慢心をチームに生んだ。横浜を率いるトーマス・ウィスマンヘッドコーチが、「前半良いバスケができていたが、ハーフタイムで喜びすぎて浮足立って、渋谷さんがディフェンスの強度を上げてきたときに、ガードたちが対応しきれず自滅した」と振り返る、後半に入っての急激な失速だった。
「特に細谷君があれだけ入ったので、もうちょっと間合いを詰めた」という伊佐コーチの指示を遂行したSR渋谷ディフェンスの前に、第3クォーターはわずか6点しか奪えなかった。
「第3クォーターの6点が敗因、それに尽きると思います」と細谷も言う。「ディフェンスが機能して、それまで相手を10点台に抑えていました。前半で大量リードをして、みんなで気を抜かずに行こうという話はしていたんですけど、どこか気持ちのズレというものがあったと思います。もっと声をかけてコミュニケーションをとっていれば違う結果になったかもしれない」
横浜の布陣として、細谷と川村卓也、田渡凌のバックコート陣が一番攻撃力が高い。だが第3クォーターでは、3人ともシュート本数が0本と封じられた。「僕と卓さん(川村)に打たせたくないとなった時に、僕と卓さんをどう使うか、僕が周りをどう生かすかというところですね。もっとボールを持ってピック&ロールで攻めていければ、もっとパスが回ったのかなって」と細谷は反省を口にした。
逆転負けも「下を向いてる場合じゃない」
横浜は10月21日の滋賀戦で最大24点差のビハインドを覆す劇的な逆転勝利を収め、チームが持つ底力を証明した。だが昨日の試合では22点のリードを守り切れず、安定感のなさも露呈した。こうしたアップダウンの経験を糧にするしかないと細谷は前を向く。
「シーズン序盤にこういう経験ができたのは大きいですし、この経験をプラスに捉えるしかないです。チームは前に進んでますし、個人的にも良くなってきています。下を向いてる場合じゃないですね」
開幕5連敗スタートとなった横浜だが、細谷が「前に進んでいる」と言うように、その後の5試合で3勝2敗と勝ち越している。外国籍選手のテコ入れも行い、フロントにも勝利を目指す貪欲な姿勢が見える。
細谷は「勝つことによって成長できると思う。勝つための練習をチーム一丸でやっていきたい」と意気込む。大逆転負けを喫したことで、あらためて1勝することの難しさを再認識したに違いない。この負けを次に生かすことができれば、シーズンは先が長いだけに取り戻すことは可能だ。それができるかどうか、横浜と細谷の真価が問われる。
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