髙田真希

東京五輪以降の変化「選手交代を頻繁に行ったり、より頭を使うようなスタイル」

日本バスケットボール協会は9月8日、開幕まで2週間となった女子ワールドカップ2022の代表メンバー12名を発表した。インサイドの要かつ精神的支柱である髙田真希は順当に選ばれ、4度目の同大会出場となる。

「目標の金メダルを目指して今も合宿を重ねていますし、もうすぐ大会が始まるので少しずつ実感が湧いてきているような状況です。チームの雰囲気も良いですし、やるべきことも明確になっているので、少しずつ課題がクリアになってきているかなと思います」

間近に迫った大会に向けて、このように髙田は現在の心境とチーム状況を見ている。銀メダルを獲得した東京オリンピックの時の代表チームは、指揮官トム・ホーバスが個々に明確な役割を与え、それを各選手たちが着実に遂行することで規律、連携を磨き上げた。それによってどんな相手に対しても自分たちの強みであるスピードと3ポイントシュートを前面に押し出す世界随一のスモールボールを展開でき、強豪を次々と撃破して五輪決勝の舞台まで到達した。

だが、それでも決勝では女王アメリカに力の差を見せつけられて完敗。また、日本のスモールボールは五輪で知れ渡り、相手もより対策を練ってくることは間違いない。さらなる成長を果たさないと世界トップクラスの地位を維持することはできない中、日本は恩塚享ヘッドコーチの下で、新しいスタイルに取り組んでいる。今回のワールドカップでは、それがどこまで通用するのかを試す絶好の舞台となる。

高田は、五輪後の変化であり、進化の方向性をこう語る。「特徴である走るバスケット、タフなディフェンス、3ポイントシュートといったところは変わらないです。選手交代を頻繁に行ったり、より頭を使うようなスタイルになっているので、そこは一つ違うと思います」

「一人ひとりの役割が明確で、徹底していたのが東京五輪のスタイルで、それにプラスアルファして、選手の判断でどんどんやっていくことを今取り組んでいます。相手がこうしてきたら自分たちはこう対応していくといった引き出しが今はたくさんあるので、それを上手くコートの中で出していけるかが、大きなポイントになります。その時の判断が上手くいけば噛み合いますし、それが噛み合わない時は流れが悪かったりします」

髙田真希

初戦のマリ戦に勝って、勢いに乗ることが一つの大きなポイント

この噛み合うという部分は、当然ではあるが、まだまだしっくりいっていないケースも目立っている。ただ、「合宿を重ねるごとに良くなってきていますし、そこら辺の理解度が高まってきていることは練習で実感しています」と手応えを得ている。また、それぞれが所属チームで中心選手として長時間プレーしているだけに3分、4分くらいで頻繁に選手交代をしていく起用法にどれだけ適応できるかも重要になると髙田は続ける。

「どれだけ短い時間で100%の力が出せるのか。そこはどの選手も所属チームではできないことで、代表でアジャストしないといけないです。短い時間で自分のパフォーマンスを最大限発揮するのは結構難しいこともあるので、そこは本当に重要なポイントになると思います。ただ、この起用法でずっとタフなディフェンスをすることによって相手のミスを誘えると思うので、そこからも流れをつかんでいきたいと思います」

あらためて言及することでもないが、東京五輪の銀メダル獲得で女子日本代表の状況は一変した。今回のワールドカップに対する周囲の注目度も4年前とは雲泥の差となっている。そのことは喜ばしいことだが、大会に挑む姿勢はこれまでと同じと髙田は強調する。「自分たちは東京五輪で銀メダルを取りましたけど、それは過去の話です。ワールドカップに出るチームはどこも強豪で、本当にチャレンジする気持ちは変わらないです」

大会は12カ国という限られた出場チームが示すように、どの相手も強豪であることに変わりはない。その中で、まずは初戦のマリ戦に勝って弾みをつけることに集中している。「どのチームも同じように警戒していますが、タフな日程の中で自分たちが気持ちよくバスケットをするためにもやっぱり初戦を勝つことで勢いに乗っていきたい。東京五輪でも初戦のフランス戦に勝ったことで自信を得られて勢いもどんどん増していきました。まずは初戦をしっかり勝ち切ることが一つ大切になってくると思います」

東京五輪で見る者を魅了するバスケットで結果を残し、女子日本代表の戦いぶりは世界のバスケットボール界でも大きな注目を集めている。ワールドカップで五輪の銀メダルがフロックでないことを世界に示してくれると期待しているし、そのためには攻守に渡ってチームの屋台骨となる髙田の貢献が欠かせない。