「みんなに認めてもらえるようにならないといけない」
ウォリアーズが40年ぶりにNBA優勝を成し遂げた2015年当時、ステフィン・カリーが27歳、クレイ・トンプソンとドレイモンド・グリーンが25歳、アンドレ・イグダーラは31歳だった。
2021年のドラフト全体7位指名でウォリアーズに加入したジョナサン・クミンガは、当時まだ12歳。それから7年後の19歳になった2022年には、子供の頃にテレビで見ていたカリー、トンプソン、グリーン、イグダーラとともにウォリアーズの一員としてNBA優勝を経験した。
昨シーズンのクミンガはルーキーながらレギュラーシーズン70試合に出場し(うち12試合で先発)、平均プレータイム16.9分で9.3得点、3.3リバウンドを記録。プレーオフでも16試合に出場し、平均プレータイム8.6分で5.2得点、1.7リバウンドを記録した。また、5月7日のグリズリーズとの西カンファレンスセミファイナル第3戦では、史上最年少となる19歳でのプレーオフ先発出場を果たすと、18分の出場でフィールドゴール10本中8本成功の18得点を記録して勝利に貢献した。そして、この記録により彼は、プレーオフで18得点以上を記録した10代の選手として、コービー・ブライアント、トニー・パーカー、カーメロ・アンソニーの仲間入りを果たした。
優勝経験が豊富なベテランが多いウォリアーズでは、ドラフトトップ10ルーキーでも出場機会が限られてしまうもの。その中でクミンガは与えられたチャンスをモノにしたが、その裏にはイグダーラとケボン・ルーニーの存在が大きかったと『NBC Sports Bay Area』の取材で明かした。
「彼らはいつも僕の隣に座っていたから、ベンチで毎日いろいろなことを話した。特にアンドレはこのチームの誰よりも経験を積んでいる。彼は18シーズンもプレーしているし、そもそもNBAでこれだけの年数をプレーすることは簡単なことではない。彼は本当に多くのことを知っているんだ。それに彼は僕たち若い選手だけじゃなくて、チームの力になりたいといつも思っている」
ベテラン選手から多くを学んだクミンガは、先輩たちが築き上げたものを継承しなければならないという覚悟を持っている。ウォリアーズは、カリー、トンプソン、グリーンのコアメンバーを中心に、ここ8シーズンで4度のNBA優勝、6度のファイナル進出を成し遂げてきた。それでも、彼らは3人とも30代に突入しているだけに、ウォリアーズの将来はジョーダン・プール、モーゼス・ムーディー、ジェームズ・ワイズマン、そしてクミンガの若手が担うことになるだろう。
クミンガ自身も「多くの人がそのことについて話しているし、僕たちも同じだ」と言い、こう意気込んだ。「僕たちは先輩たちが残してくれたレガシーを守り続けないといけない。そして、このレガシーを引き継がないといけないんだ。先輩たちがいなくなった時、若い選手がちゃんと育っていることを、みんなに認めてもらえるようにならないといけない」
そして、今オフ中に2年目に向けて改善したい面を問われたクミンガは「どこか一つにこだわっていない」と答えた。「僕は何事にも満足していない。常に向上心を持ち続けているし、すべてを改善したいと思っている。不可能かどうかは分からないけど、心の中ではすべてを改善できると思っている。でも、それは一晩でできることじゃなくて、時間がかかるものだ」
ウォリアーズが王朝を終わらせないためには、クミンガなどの若手がチームの伝統を継承しつつ、さらにどれだけ進化させられるかが鍵となる。