ブラッドリー・ビール

堅実な補強でプレーオフ常連チームになれるか?

ウィザーズは若手を育てていくのか、それともブラッドリー・ビールを中心に即座に勝利を追い求めるのか、どっちつかずの補強が多く、何よりも「ビールと組ませるのに適したポイントガード」に、常に迷っており、ジョン・ウォールやラッセル・ウェストブルックのようなスターガードでなければ機能しない構成が続いてきました。しかし、そんな状況にも終止符が打たれるかもしれません。

マルコム・ブログドンなど、チームの中核を担ってきたポイントガードの補強も噂された中で、ウィザーズが選んだのはモンテ・モリスとウィル・バートンでした。名前だけならば地味にも映りますが、ヘッドコーチのウィル・アンセルドJr.がナゲッツ時代に共に過ごした選手だけに信頼のおける補強となりました。ポイントガードのモリスは5年のキャリア通算でフィールドゴール成功率48%、3ポイントシュート成功率39%と非常に安定したシュート能力を誇り、特にミドルレンジから47%と高確率で決めてきます。運動能力や突破力に優れたタイプではなく、インサイドに飛び込んでのフィニッシュが少ないにもかかわらず、これだけ高確率に決めてくるポイントガードは珍しく、さらに4.4アシストに対してターンオーバーはわずかに1.0と極めて堅実なゲームメークをしてきます。

ビールがハンドラーとしてアタックを繰り返すチームスタイルにおいて、堅実タイプのポイントガードを相棒に置くのは理にかなっています。モリスは堅実なスタイルでチームオフェンスを構築しますが、予定していたプレーにこだわることなく、ディフェンスの動きを見て逆を取る選択もしてきます。カイル・クーズマがエース格として成長を見せているだけに、ビールを囮にして違うプレーを選択するなど、モリスの状況判断がオフェンスの可能性を大きく広げてくれるはずです。これまでウィザーズにいなかったタイプのポイントガードとして、真正面から個人突破を繰り返すチームカルチャーそのものを変えてくれる可能性があります。

冷静な状況判断をするモリスに対して、バートンはアグレッシブなアタックを繰り出すシックスマンタイプのチームリーダーです。ややビールとプレーが被ってしまいそうな反面、ビールにマークが集中した時に強気なプレーで打開してくれます。196cmで細身の身体ながらリバウンドが強いのも特徴で、インサイドのコンタクトプレーも苦にしないだけに、3ガードでも起用しやすい選手です。ベンチから流れを変えてくれるエネルギーを持っているだけに、起用法さえ間違えなければ大きな力になってくれるでしょう。

今オフに再契約も締結しただけに、ウィザーズは『ビール中心で勝つ』ことを明確にしました。不安要素は残っているものの、ビールの相棒となるガードに堅実なプレーチョイスと確実なシュート力を持つモリスがおさまり、ベンチからの打開役としてバートンが加わったことは高く評価できます。スターパワーで強引に突破するオフェンスを展開してきましたが、状況判断に優れ変化を付けれる選手の補強は、ウィザーズの戦い方そのものが大きく変化するかもしれません。