アルバルク東京

文・写真=鈴木栄一

守備の強度で上回り、2日続けての大差での勝利

10月21日、アルバルク東京が川崎ブレイブサンダースとホームのアリーナ立川立飛で対戦。持ち前の堅守で試合を通して川崎のオフェンスを封じ込め、66-46と前日(89-67)に続き20点差以上の大差をつける圧勝を収めた。

第1クォーター、ともに点が入らないロースコアの出だしとなるが、終盤にA東京は馬場雄大のファストブレイク、ザック・バランスキーの3ポイントシュートなどで抜け出し18-12とリードする。第2クォーターに入ってもA東京の流れは変わらず。序盤に竹内譲次の連続得点でリードを2桁に広げると、守ってはこのクォーターで川崎のフィールドゴールを14本中4本成功に押さえ込み、わずか8失点。前半で16点の大量リードを奪う。

第3クォーターに入ると川崎も辻直人の奮闘などで一時は巻き返し、残り約4分には11点差とする。直後の守備でターンオーバーを奪取し、辻が決まれば1桁の点差となる3ポイントシュートを放つが失敗。逆にA東京はこのリバウンドからアレックス・カークの速攻でのダンクなどで再び突き放す。第4クォーターに入っても守備の強度を落とすことなく、余裕の勝利を収めた。

リーグ屈指の爆発力を有する川崎のオフェンスを2日続けて沈黙させたA東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「昨日、今日と川崎さん相手に2連勝できて、チームはよく戦ってくれました。今日も昨日と同じで4つのクォーターを通して自分たちのディフェンスができました」と、守備の勝利を強調する。

アルバルク東京

堅守とともに光る選手層、齋藤拓実の働き

この2試合、圧倒的な堅守とともに光ったのが、リーグ屈指の選手層だった。小島元基の故障離脱を受けて、2番手ポイントガードを務めた齋藤拓実もしっかりと与えられた役割を遂行。「15分のプレータイムを与えるバックアップのポイントガードとして役割を十分に果たしてくれました。スタッツは残してないかもしれないですが、篠山選手、藤井選手という日本人の素晴らしいポイントガードにしっかりマッチアップして、簡単にプレーさせなかったことは彼にとって自信になったと思います」と指揮官も称える活躍だった。

一方、川崎の北卓也ヘッドコーチは「完敗です。46点では勝てません。A東京さんは本当に素晴らしいディフェンスをされていました。現状では完成度に違いがあり、力の差があると感じました」と負けを受け入れた。

そして、「打てる場面で打てない。打ちなよと言ったら、良いシュートではない場面で打ってしまう。自分自身で良い判断でできていないことが、僕の中で一番モヤモヤしています」と特にシュートセレクションを課題に挙げていた。2試合続けての大敗は、メンタル的にも厳しいものとなる。しかし、「選手もいろいろと感じていると思いますが、水曜日もゲームがあります。『点を取れない』と引きずってはいられないです。悔しい気持ちを持たないといけないですが、次に向けて切り替えないといけません」と続けている。

アルバルク東京

強豪対決は3週間後にとどろきアリーナで再び

最後にA東京にとって、難敵である川崎相手の連勝は、パヴィチェビッチヘッドコーチにとっても「価値の高いもの」と評する大きな成果だ。しかし、一方で指揮官は、今の川崎は本調子ではないと現状を冷静に把握している。「川崎の主な強みであるファジーカスはケガから復帰したばかりで本来の状態ではないです。そして外国籍選手の2人も新加入で、まだチームに噛み合っていない段階だと思います。ただ、時が経てば、外国籍選手も川崎のカルチャーを理解するでしょうし、そうなれば川崎はリーグ屈指のチームになってきます。一方で私たちは去年とほとんど同じメンバーで、チームの根幹は変わっていない。これは大きな助けとなっています」

両チームは、約3週間後の11月10日、11日に今度は川崎のホームと再戦する。果たして、次の対戦までに川崎がどこまで立て直せるか。前半戦を代表する大一番として注目したいところだ。