「どうやって今まで勝てなかったチームをカルチャーチェンジするか」
7月12日開幕のアジアカップに向け、バスケットボール男子日本代表は強化を進めている。
ワールドカップアジア地区予選Window3のメンバーが中心となったが、今回は渡邊雄太と富樫勇樹の2人が新たに加わった。指揮官のトム・ホーバスは「オーストラリア戦は良くなかったけど、チャイニーズ・タイペイ戦で良いバスケットボールができて自信になりました」とWindow3を振り返りつつ、「若い選手たちは初めて2人とプレーをします。みんなのレベルが上がり、違うレベルになった気がします。渡邊と富樫が入ったインパクトは思った以上に大きい」と、2人が加わった効果の大きさを感じているようだ。
ラプターズでプレーした、『海外組』である渡邊の参戦が注目を浴びているが、ホーバスもコート内外で渡邊に全幅の信頼を寄せている。「今回は『ストレッチ4』として4番で使います。今までの4番はできなかったですが、彼は3ポイントシュートが入るし、アグレッシブにドライブでペイントアタックもできる。オンコートでスター選手の存在が大きいのは当たり前で、彼はオフコートの気持ちも素晴らしく、ポジティブで声を出して良い雰囲気を作っていました」
ホーバスは以前から、男子日本代表の『文化』を変えたいと公言してきた。ここで言う文化とは、日本を背負う覚悟や練習に取り組む姿勢など、様々な意味合いが含まれている。そして、ホーバスは渡邊のハングリー精神によってチームに相乗効果が生まれていると強調した。「合宿の前に渡邊に会って私の考えを伝えましたが、私たちの考え方はだいたい一緒でした。どうやって今まで勝てなかったチームをカルチャーチェンジするか。ハングリーな選手がいなかったらカルチャーチェンジはできません。今は上手くなりたい、良いバスケットをやりたいと全員がハングリーです。若い選手が多く経験は少ないけど、この気持ちで良い勝負ができると思っています」
もちろん、メンタルの変化だけで優勝できるほどアジアカップは甘くない。ホーバスもそれを分かっているからこそ、直近の目標にグループリーグ1位通過を掲げた。「今までは自分のチームばかりを考えていましたが、他のチームのスカウティングもしています。グループで1位になれば次の試合もチャンスがあるので、グループで1位になりたい。その後にもう一度目標を立てたい」
日本はグループリーグでカザフスタン、シリア、イランと戦う。特にイランとカザフスタンはワールドカップアジア地区予選でも対戦するため、ここで勝ち癖をつけておきたいところだ。