全体1位指名を争うホルムグレンとスミス
ウォリアーズが制したNBAファイナルから1週間後の日本時間23日には、ドラフトが行われます。頂上決戦から新たなスターの発掘へと一気に話題が移り変わってきました。今年のドラフトはポイントガードが不作という珍しい状況の一方で、トップクラスのビッグマンが揃っており、トップ3はすべてビッグマンが予想されています。
早くからNo.1候補と目されていたゴンザガ大のチェット・ホルムグレンは、フィールドゴール成功率60%、3ポイントシュート成功率39%と高いシュート力を発揮しただけでなく、9.9リバウンドに加えて3.7ブロックというモンスタースタッツを残しました。どこからでも点が取れる上に、リムプロテクターとしても優秀なホルムグレンは1位指名候補ですが、細身の身体はガード並みの体重しかなく、NBAのフィジカルな戦いに耐えられるかどうかという不安要素が付きまとっています。
不安要素のあるホルムグレンに代わって1位指名の最有力候補と目されているのがオーバーン大のジャバリ・スミスで、フィジカルでもスピードでもNBAで通用する身体能力を持ち、特にディフェンス面で高い評価を得ています。加えて42%と高確率の3ポイントシュート成功率で、スモールラインナップへの対応も可能なシュート力を持ち合わせています。ホルムグレンほどのモンスタースタッツは残していないものの、どんなチームメートにもアジャストできるであろう汎用性の高さもあって、現代ビッグマンとして使いやすいタイプです。
この2人と違ってディフェンス面での不安があるパオロ・バンケロは3位指名が予想されています。オフェンスで強みを発揮するバンケロは、自ら仕掛けて得点を取る能力と起点としてのパス能力でホルムグレンやスミスを上回る可能性を持っています。1年生ながら1on1で止めるのが難しいほどの圧倒的なスキルとフィジカルを発揮し、名門デューク大のエースとして戦い抜いてきただけに、NBAでも早々にエース格としての活躍が期待できます。現代ビッグマンに求められるのがオフェンスよりもディフェンスである点がバンケロの評価を落としていますが、逆にオフェンス力だけならNo.1のビッグマンです。
いずれも中でも外でも点が取れる現代型のビッグマンがトップ3候補として並びますが、10位前後での指名が予想されるジェイレン・デューレンもポテンシャルでは負けていません。シュート能力が低い以外はスペシャルな存在であるデュ―レンは、18歳とは思えない鍛え抜かれた肉体で信じられない身体能力を持っています。まだまだスキルアップが必要ではあるものの無視できない素材だけに、ビッグマンが足りていないチームはターゲットにしているはずです。
他にもバンケロのチームメートで、スタンディングリーチ(立った状態で手を伸ばした時の最高到達点)で脅威の297cmを記録したマーク・ウィリアムスは、フィールドゴール成功率72%というゴール下専門の堅実タイプとして起用しやすく、スミスのチームメートであるウォーカー・ケスラーは4.6ブロックという脅威のリムプロテクト力を持っており、特徴のあるビッグマンとして1巡目での指名が予想されています。
逆にサイズはないもののオハイオ州立大のEJ・リドルは、ヘルプ能力に優れたパワーフォワードタイプでプレーメーク力も持ち合わせているため、スモール戦術を使いたいチームに向いた存在です。優勝したウォリアーズが明確なセンターを使わなかっただけに、ドラフト直前になってリドルの価値は高まったかもしれません。
ビッグマンにもシュート力が求められるようになってきましたが、ベースとして必要なのはディフェンス力という点は変わっていません。多くの有能なディフェンシブビッグマンが揃っているため、各チームがディフェンスの弱点をどのように埋めていくのかが注目されます。