「鍵となる選手を抑えにくるので、自分にシュートチャンスが来るのは分かってた」
島根スサノオマジックは、敵地に乗り込んで迎えた琉球ゴールデンキングスとのセミファイナル初戦を85-94で落とした。第1クォーター、島根は3ポイントシュート11本中8本成功を含むフィールドゴール16本中12本成功と圧巻のパフォーマンスで34得点を挙げると、最大21点の大量リードを奪った。しかし、第2クォーター以降は立て直した琉球の堅いディフェンスに勢いを止められ、オフェンスが一気に停滞。そして第4クォーターには逆に32失点とビッグクォーターを作られ痛恨の逆転負けを喫した。
島根の指揮官ポール・ヘナレは「勝つにはいろいろな要素が足りずに残念でした」と振り返るが、その中でも特に3ポイントシュートを強調した。島根は冒頭で触れたように第1クォーターで大爆発したが試合全体では29本中11本成功に留まり、琉球(25本中12本成功)よりも本数、成功率ともに劣った。「3ポイントシュートが最も大きな違いで、彼らに48%の高確率で決められてしまいました。岸本(隆一)選手、今村(佳太)選手、並里(成)選手に合わせて18本を打たれてしまい、彼らが素晴らしい仕事をしました」
この試合、島根はペリン・ビュフォードが27得点8アシスト5リバウンド5スティール2ブロックと大暴れだった。その彼に続くインパクトをもたらしたのは白濱僚祐で、3ポイントシュート6本中4本成功を含む17得点に加え、4リバウンド3スティールを記録した。
ヘナレは「彼は気持ちをしっかり持って準備ができていたので、この活躍にも驚きはないです。オフェンスに目がいきがちですが、ディフェンスでもいつも以上のプレーを見せてくれました」と絶賛した。ビュフォード、安藤誓哉といった大黒柱より長い35分18秒の出場時間だったことが、その貢献度の大きさを物語っている。
白濱本人も「相手が鍵となる選手を抑えてくるので、ロールプレーヤーである自分や阿部(諒)にシュートチャンスが回ってくるのは分かっていました」と、長距離砲の爆発について想定通りのプレーができたと語る。
ビュフォードだけでなく、バランスの取れた攻めに必要な安藤と金丸の得点
ただ、勝てなかったことで満足はできない。そして第2クォーター以降、オフェンスが失速した原因をこう考える。「僕たちのオフェンスが単調になって良い形でシュートを打てなくなりました。それ以上に琉球さんのポイントを抑えた激しさ、エナジーのあるディフェンスでこういう結果になったと思います」
オフェンスが単調になった点については、シュートの配分が端的に示している。ビュフォードは傑出した個人技の持ち主であり、かつチームとして彼が1対1で攻めやすい状況を作り出してのアタックで独りよがりのプレーではないが、彼に任せる部分が大きすぎた印象は否めない。実際、27得点を挙げたが、フィールドゴール24本中9本成功と確率は良くなかった。そして、安藤はフィールドゴール9本中2本成功のわずか6得点に終わり、第4クォーターでのシュート試投数は1本のみ。さらに金丸晃輔は試合全体でフィールドゴール3本中1本成功の2得点だった。
琉球の桶谷大ヘッドコーチは「ビュフォード選手について言い方は悪いですが、やられ慣れているところはあります。ある程度、やられるのは分かっています。そこで安藤くんと金丸くんにもやられ出したらキリがなくなります」と語っており、島根としては相手の守りたいようにさせてしまった。
島根にとって勝たないとシーズン終了となる今夜の第2戦に向け、白濱は決意を語る。「ここにきてプレーで何かを変えるのはないと思うので、今まで自分たちがやってきたことを後がない気持ちを前面に出してプレーするしかないです。自分の役割を明日も全力でやるだけですし、チームみんながそれを信じていくだけだと思います」
琉球にプラン通りのディフェンスを遂行させないためには、再び白濱がオープンシュートを決めきってチームに勢いを与えることも大きな要素だ。