張本天傑

指揮官デニス「今シーズンやろうとしていたことを見せられました」

2020年夏にポイントガードの齋藤拓実と今シーズンの3ポイントシュート王の狩野祐介を獲得した名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、2021年夏には外国籍選手を総入れ替えし、アジア特別枠でレイ・パークスジュニアを獲得、そして新たな指揮官にショーン・デニスを迎えて今シーズンに挑んだ。

今シーズンの名古屋Dはフィールドゴール試投数がリーグ最多の平均68.4本となったように、齋藤を中心にテンポが速いバスケットを展開。その結果、平均得点でもリーグ3位となる87.3得点をマークし、JBL、NBL時代も含めたここ10シーズンでチーム最高勝率(0.694)を残し、西地区3位で3シーズンぶりのチャンピオンシップ進出を果たした。

また、勝率だけでなく、名古屋Dはレギュラーシーズンではリーグ首位の琉球ゴールデンキングスに唯一2勝したチームであり、島根スサノオマジックとも2勝2敗、川崎ブレイブサンダーズとも1勝1敗、アルバルク東京には2勝0敗と上位チームとの対戦でも勝ち星を挙げていた。

それだけに、チャンピオンシップでの躍進も期待されたが、シーズン終盤戦でコティ・クラークとオヴィ・ソコがケガにより戦線離脱し、外国籍選手はスコット・エサトンとアジア特別枠のパークスジュニアのみとなってしまった。その状況で迎えた川崎とのチャンピオンシップクォーターファイナル第1戦は71-97の完敗を喫した。さらにエサトンも第1戦の後半に負傷したため、第2戦はパークスジュニアと日本人選手のみで戦うことに。

第1戦の様子に加えてエサトンまで欠場となると、第2戦も川崎のワンサイドゲームになるかと予想された。しかし、ビッグラインナップを起用する川崎に対し、名古屋Dは最もサイズがある選手で197cmの張本天傑というスモールラインナップにもかかわらず、闘志溢れるハードなディフェンスで川崎を苦しめた。最終的には70-85で敗れたが、第4クォーター残り約8分の時点では9点差と、終盤まで拮抗したゲームを展開した。

デニスヘッドコーチはクォーターファイナル2戦を終えて「難しい週末になると思っていました。外国籍選手2人がいない中、エサトンもケガをして今日は出られなくなり、外国籍が一人もいない状況でした。それでも、今日みたいな努力をして勝つ可能性があった試合をできたのは、本当に誇り高いことです」と振り返った。「これが昨日はできなかったウチらしいバスケです。今日の試合では、今シーズンやろうとしていたことを見せられました。これをやり続けていきたい」

そして、名古屋Dの指揮官としての初めてのシーズンを終え「この一年間、チームが上達したのが素晴らしかったです」とチームを称えた。「10年ぶりにこの記録を残したシーズンとなりました。それも誇り高いことですし、ここからやり続けないといけない。このチームはコロナやケガにもチーム一丸となって戦ってきました。負けるのは悔しいですが、それらを乗り越えてきたことが本当に素晴らしかったです」

張本天傑

張本はシーズン最終試合でシーズンハイの22得点をマーク

名古屋Dは外国籍選手がいない中でも、日本人のインサイド陣が身体を張って奮闘した。菊池真人はBリーグ開幕以降、最長となる36分22秒で14得点3リバウンド4アシスト1スティールで貢献。そして、張本は自分より約10cmもサイズで勝るジョーダン・ヒースやニック・ファジーカスと真っ向から渡り合った。守備ではフィジカルに対抗し、オフェンスでは機動力を生かすなど、3ポイントシュート6本中4本成功を含むゲームハイの22得点と6リバウンドをマークした。

張本は第2戦後に「ケガ人が多く、日本人だけで試合をやることになりましたが、今までやってきた自分たちのバスケを徹底してやり切ることができたので、個人としても満足しています」と振り返った。

「今日は試合前から『楽しんでやる』と選手たちで話し合っていました。スコットがいない分、得点がすごく減ってしまうので、インサイドの役割を任された自分は、空いたらどんどんシュートを打っていこうと決めていました。個人としても昨日の出来が最悪だったので、シュートが入りだして良かったです」