序盤につまずくも、第2クォーターに立て直す
千葉ジェッツとの先出し開幕戦で2連勝と最高のスタートを切った川崎ブレイブサンダースは昨日、ホームでの開幕戦を迎えた。高橋耕陽を中心としたアグレッシブな滋賀レイクスターズの戦いぶりに手を焼くも、試合終盤の強度の高いディフェンスで勝利を収めた。
試合序盤は完全に滋賀のペースで試合が進む。川崎はホーム開幕戦の重圧から硬さが見られ、シュートが決まらず、連続でボールを失う。対照的に滋賀はガニ・ラワルのインサイドプレーや狩野祐介の連続3ポイントシュートなど、リズムの良いオフェンスを展開し、開始3分で10-0とロケットスタートを見せた。
タイムアウトを要請するも流れを変えられない川崎は、残り3分30秒にニック・ファジーカスを投入。それでもディオール・フィッシャー、ラワルの強力インサイド陣を中心とした堅いディフェンスを崩せず、6-21と大きなビハインドを背負った。
だが第2クォーターに入ると、林翔太郎が川崎にとって初となる3ポイントシュートを沈め、ファジーカスが今シーズン初得点を記録すると、川崎の調子が上がってくる。ファジーカスがインサイドで起点となることでディフェンスが収縮し、外のケアが甘くなった。その結果、第1クォーターでは6本すべて外れた3ポイントシュートが、このクォーターは5本中3本決まった。
オフェンスが機能したことで、ディフェンスの強度も増した。簡単にボールを回させず、ボールラインを押し上げ、単調なオフェンスを強いた。残り2分32秒、約4分間で16-0の怒涛のランを見せた川崎は、鎌田裕也がゴール下のシュートを決めてこの試合初のリードを奪い、31-29と試合をひっくり返した。
弱体化したインサイドを突き接戦に終止符
後半に入り、落ち着きを取り戻した川崎がペースを握るかに思われたが、高橋の強気なドライブを止められず一進一退の攻防が続いた。それでも林がアグレッシブなプレーでチームを牽引し、本調子ではないファジーカスの穴を埋めると、シェーン・エドワーズがこのクォーターだけで11得点を挙げる活躍を見せ、リードを8点に広げた。
それでも最終クォーターに入ると、粘る滋賀がさらに奮起。フィッシャーと高橋の連続バスケット・カウントで点差を縮める。川崎は最終クォーターだけで14本のフリースローを獲得するも7本の成功と精度に欠き、突き放すチャンスを逸した。残り5分、フィッシャーにフリースローを2本沈められ、61-59と肉薄された。
だが川崎はここからディフェンスのギアを一段階上げる。ボールプレッシャーを高め、トラップディフェンスを仕掛け、オフェンスを停滞させた。アグレッシブさがあるのにプレーがうまく回らないと焦りが生まれ、ファウルがかさんだ。残り3分11秒、インサイドを支えてきたラワルが4つ目のファウルを犯すと、そのわずか1分後、微妙な判定ながら、オフェンスファウルを狙ったラワルが5ファウルとなり、コートを去った。
試合巧者の川崎は弱体化したインサイドを突く。残り2分、シェーン・エドワーズが連続得点を挙げリードを9点に広げた場面で勝負アリ。追撃の手を休めない川崎が、苦しみながらも76-64で勝利を手にした。
敗れた滋賀も収穫「自信を持てばやれる」
勝利した川崎の北卓也ヘッドコーチは「ディフェンスのインテンシティを上げて、そこからイージーなシュートを決めてよく追いついた。シーソーゲームになったが、最後は粘り勝ち。ディフェンスをしてしっかり走れた」と勝因を語った。
「内容は良くなかったが」と前置きしながらも、「センタービジョンがついて本当にアリーナになったと実感しましたし、アリーナの雰囲気を見せれて、勝利のゲームをお見せできてうれしく思う」とホーム開幕戦を勝利で飾り安堵の表情を浮かべた。
一方、敗れた滋賀のショーン・デニスヘッドコーチは「良いスタートが切れたが、第2クォーターに入り川崎のディフェンスのインテンシティがグッと上がった。それにマッチアップできなくて、流れを失った」と序盤の大量リードを守り切れなかったことを悔やむ。
「5ファウル目は厳しい判定だと思ったのは事実。ラワルがファウルアウトしてしまい、苦しい展開になった」と勝負の分かれ目となったシーンを振り返ったが、「タフな相手にもやっていけるという自信を持てばやれる」と、この試合での収穫を語った。
川崎は開幕から無傷の3連勝を記録。本調子ではないもののファジーカスが今シーズン初めてプレーし、ハングビジョンのお披露目など、平日開催ながら集まった4708人の観客は多いに満足した夜となった。