レイカーズ

『ビッグ3』が揃ったのはわずか21試合のみ

ケガによる離脱期間の長かったアンソニー・デイビス、ミスが多く連動性を生み出せなかったラッセル・ウエストブルック、得点を重視し個人技が増えてしまったレブロン・ジェームズ。『ビッグ3』それぞれに問題があったように、今シーズンのレイカーズは様々な原因が絡み合ってプレーオフにすら進むことができませんでした。

これほどまでに勝てないとは開幕前には予想もつかなかっただけに、責任はチーム全体にあると言えるでしょう。優勝した2年前のチームはディフェンス力を基盤にした戦い方で、試合展開に応じて相手の良さを消す柔軟な選手起用が特徴でした。その一方でオフェンス面は主役となるレブロンとデイビスの負担が大きく、疲労の蓄積もあって2人のケガに泣いた昨シーズンの反省から、ウエストブルックの獲得により選手層が薄くなっても主役の負担を分担することを選びました。

しかし、フタを開けてみればレブロンとデイビスは今シーズンも欠場が多く、ビッグ3が揃ったのはわずかに21試合のみでした。他にもシーズンを通して欠場者が多くコンディション管理の失敗は明らかで、特に当初は数週間の離脱といわれたケンドリック・ナンがシーズン全休しており、ケガの診断やトレーニング強度の調整など、コート上のプレー以外の面でレイカーズには多くの失敗があった言えます。

ベテランを集め「年寄りばかり」といわれたロスターは、その通りにケガに沈みました。一方でマリク・モンク、オースティン・リーブス、テイレン・ホートン・タッカー、スタンリー・ジョンソンの若手たちは苦しい状況でも必死で食い下がり、今シーズンの数少ない好材料でした。想定通りに全員が揃っていればベテラン陣の経験が機能したのかもしれませんが、主役の欠場で生み出された穴を埋めるためには、生き残るために必死な若手の持つエネルギーの方が遥かに重要でした。

レイカーズ

逆境を跳ねのけるエネルギー不足、一貫性のなかった戦術

度重なる欠場と代役のいないロスター構成で頻繁に戦術が変更されるのも大きな問題でした。5勝3敗で開幕スタートすると早々にレブロンが離脱し、そこからウエストブルックとデイビスのツーメンゲーム中心に切り替えて連携が作られてきたものの、レブロンが戻ってくると再調整が入り、さらに12月半ばにデイビスが離脱すると5連敗で勝率が5割を切ってしまいました。ここからレブロンをセンターにしたスモールラインナップを採用し、年末年始で5勝1敗と盛り返しましたが、1月後半にデイビスが復帰したので再びチームのバランスが変わりました。

2月半ばに再び離脱するまで4勝6敗と波に乗ることができず、再度スモールラインナップに変更されます。ここからレブロンがハイスコアを連発しますが勝率は上がらず、そして4月にデイビスが復帰すると3連敗でプレーインの可能性も絶たれました。

レイカーズのスモールラインナップはホートンタッカーやリーブスの頑張りもあって次第に連携も高まっていましたが、目の前の勝利をつかむためにレブロンが個人技で点を取りに行くシーンが目立つようになりました。また、デイビスが復帰するとドワイト・ハワードと同時起用のビッグラインナップに変更されてしまい、最後まで自分たちの戦術を磨き上げることなくシーズンが終わってしまいました。ロスターにガードとセンターが多かった一方で、デイビスの代役となるタイプの選手がいなかったため、戦術が右往左往してしまったのです。

コンディショニングの悪さ、逆境を跳ねのけるエネルギー不足、一貫性のなかった戦術と様々な要素が折り重なったことによりチーム作りは一向に進まず、シーズン終盤になると他のチームとの完成度が違いすぎ、ビッグ3が個人として優れていようとも、歴然としたチーム力の差が生まれていました。強さを求めてスーパースターを揃えたレイカーズでしたが、様々な状況で戦うための柔らかさが足りず、もろくも崩れ去ってしまったシーズンでした。