中山拓哉

「オフェンスでもっと貢献しないと勝てない」

3月23日、秋田ノーザンハピネッツはホームで宇都宮ブレックスと対戦し、終盤までもつれる激闘を75-69で制した。第2クォーターにターンオーバー連発で崩れ、前半で11点のリードを許した秋田だが、第3クォーターで前半不発だった3ポイントシュートが火を吹いて盛り返す。そして第4クォーターでも外角シュートを高確率で沈めると、守っては激しいプレッシャーをかけ宇都宮のボールムーブを停滞させ、攻守で自分たちのやるべきバスケットボールを展開。このクォーターを25-12と圧倒し、見事な逆転勝利を収めた。

今回、攻撃面で光った一人が3ポイントシュート5本中3本成功で13得点を挙げた中山拓哉だ。特に第4クォーターでは、1点差で迎えたオフィシャルタイムアウト明けにインサイド、3ポイントシュートによる連続得点で逆転へと導くと、残り1分にはアレックス・デービスのスティール奪取からつかんだチャンスでリードを6点に広げる価値ある3ポイントシュートを成功させた。このクォーターだけで8得点と、まさに勝利をもたらす活躍ぶりだった。

秋田は先週の水曜ゲームでアルバルク東京、週末には川崎ブレイブサンダースと同地区の強豪と続けて対戦し、接戦を演じたが最終的に3連敗を喫していた。それだけに、中山は「本当にこの勝利が欲しかったので勝てて良かったです」と試合後に語る。

後半にしっかり立て直すことができた理由として、メンタル面を挙げた。「前半で自分たちのターンオーバーが多く、そこからの失点で良くない時間が続いていました。その中で、自分たちはどういうチームなのか、ディフェンスからやっていこう。気持ちの部分で負けていたら勝てないと話し合いました。後半、気持ちがしっかり出ていたことがプレーに繋がったと思います。チームとしてしっかり切り替えられてディフェンスから良い流れができて、それがオフェンスにも繋がりました」

ここ一番での長距離砲が光った自身のプレーについては「3ポイントシュートが1本決まった時、次も来たら打とうと思っていて、その思い切りの良さが良い方向に出ました。3本目の時は、打った瞬間から入るなと思いました(笑)」と笑顔を見せる。

中山拓哉

「2つ負けていたので、よりやってやろうという気持ちはありました」

この試合、中山はオフェンス面で期するものがあった。「川崎戦は2試合続けて0点で、オフェンスでもっと貢献しないと勝てない。何がなんでもやってやろうと思っていました。ディフェンスの部分ではチームに貢献できていたと思いますが、オフェンスでは僕が捨てられる部分がありました。そこは自分がもっと成長して良くなればもっとプラスになれる。川崎戦で勝っていたらそこまで気にしなかったと思いますが、2つ負けていたのでよりやってやろうという気持ちはありました」

攻撃面で秋田最大の武器は3ポイントシュートであり、相手は非凡なシュート力を持つジョーダン・グリン、古川孝敏をより抑えにかかる結果として、中山へのマークが緩くなってくる。それに対する反骨心はあり、自身がチャンスでしっかり決めることの効果の大きさは強く意識している。

「3ポイントシュートを決めることで、僕に少しでも意識が向いてくれれば他の選手が生きます。捨てられたことに、なにくその気持ちでやっていましたし、これを継続してやっていかなければいけないと思います」

この試合、秋田は得点源のグリンが11得点に留まり、特に第4クォーターではシュートを1本放ったのみの0得点だった。それでも難敵の宇都宮を相手に競り勝ったことで、この勝利はより大きな意味を持ってくる。これからタフな日程で勝ち星を増やしていくには、よりチーム力が問われる。その中で中山がオフェンス面でいかにインパクトを与えられるかは、秋田がチャンピオンシップ出場権を勝ち取るための大きな鍵となってくる。