「 ファンは何があっても私たちを支えてくれた 」
現地3月11日、サンアントニオのAT&Tセンターで行われたスパーズvsジャズの一戦は、接戦の末に104-102でスパーズが勝利した。
この勝利により、スパーズの指揮官グレッグ・ポポビッチはドン・ネルソンが持っていた通算勝利数1335を抜く、1336勝目を挙げて、通算勝利数でNBA歴代トップに躍り出た。現在73歳のポポビッチは1996年からスパーズのヘッドコーチを務め、これまでに5度のNBA優勝、3度のNBAコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞している。また、2021年の東京オリンピックでは、男子アメリカ代表を金メダル獲得に導いた名将だ。
1336勝目となったジャズ戦では試合終了のブザーとともに、会場がスタンディングオベーションで勝利を称えた。ポポビッチはジャズの指揮官クイン・スナイダーと抱擁を交わすと、スパーズの選手だけでなく、ジャズの選手もポポビッチの元に駆け寄り偉業達成を称えた。
試合後、ポポビッチは「当たり前のことだけど、たくさんの人のおかげだよ」と、今まで携わった人への感謝を語った。「これは個人のものではない。バスケットはチームスポーツだ。選手たちには『みんなでやらなければいけない』といつも言っているが、それは私の人生においても当てはまることだ。素晴らしい選手、コーチ、スタッフに恵まれた。そして、この街からのサポートがあったからだ。ファンは何があっても私たちを支えてくれた。この記録はみんなで作ったもの。私のものではない、私たちのものだ。そして、この街のすべての人々のものだよ」
スパーズは試合後に、今まで通算勝利数でトップにいたネルソンからのメッセージビデオを公開した。ポポビッチはかつてウォリアーズでネルソンの下、アシスタントコーチを務めていたことがある。ネルソンは「君がこの偉業を成し遂げてくれたことを、とても誇りに思っている。この日が来るのが、待ち切れなかった」とポポビッチを称えた。
また、NBAコミッショナーのアダム・シルバーも「スパーズでのグレッグ・ポポビッチの成功は、我々のリーグで前例のないものだ。彼が最多勝利記録を保持したことは、まさに彼のキャリアに相応しい」と声明を発表した。「彼のリーダーシップとゲームへの揺るぎない献身は、何世代もの選手やコーチから称賛されている。ポップコーチの伝説的なキャリアにおける、この新しい功績を祝福する」
このジャス戦で勝利を決定づけるフリースローを沈めたデジャンテ・マレーは「僕たちはポップのために戦った」と語った。「ポップには本当に感謝している。こんなすごいことは滅多に起こらない。彼は偉大な男で、偉大なコーチだ」
偉業を成し遂げたポポビッチだが「私たちは誰も記録のためにコーチをしているわけじゃない。今日のような勝利を挙げるために、コーチをしているんだ」と語った。