次のレベルに進むにはホーム戦績の改善が必要
主力のクリス・ポール、ブレイク・グリフィン、デアンドレ・ジョーダンがキャリア全盛期にあり、シャープシューターのJJ・レディック、3度のシックスマン賞を受賞しているジャマール・クロフォード、闘争心旺盛な姿勢で相手に向かうオースティン・リバース、優勝経験を持つポール・ピアースを擁している。さらに彼ら個性派を束ねるのはドック・リバース。クリッパーズは優勝を争えるだけの戦力、マネージメント力を保持している。
それでも現状では、プレーオフ準決勝の壁を打ち破れていない。
その原因の一つは、ホームコート・アドバンテージを生かせていないことだ。クリッパーズは昨シーズンのホーム戦で29勝12敗をマーク。クリッパーズより上位でプレーオフに勝ち進んだサンダーはホームで32勝9敗、スパーズは40勝1敗、ウォリアーズは39勝2敗と、その差は明らか。
記録的なシーズンを送ったスパーズとウォリアーズとの比較は酷かもしれないが、昨シーズン以前もAT&Tセンター、オラクル・アリーナは、対戦チームにとって難攻不落の要塞と見なされ、コートに立つ時点で選手たちの足をすくませる会場だ。
一方のクリッパーズと言えば、ここ数年の成績で同じステイプルズ・センターを本拠地に持つレイカーズとの序列を入れ替えることには成功したものの、ホームの強みを生かせているとは言い難い。
昨シーズンのプレーオフ1回戦でトレイルブレイザーズと対戦した際も、ホームコート・アドバンテージを保持していたが、2勝2敗で迎えたホームでの第5戦を落とし、第6戦でも敗れて早々にポストシーズンから姿を消した。2015年のプレーオフ、ロケッツと対戦したカンファレンス準決勝でも、3勝1敗と王手をかけながら、第5戦から3連敗で敗退。その3試合の中にはホームゲームも1試合あった。
肝心なところで地の利を生かせないというのは、チームにとって克服すべき課題だ。このような批判がある中、司令塔でありチームリーダーのクリス・ポールは、『Orange County Register』に、「僕たちにとって大きな問題の一つは、ホームコートが真の意味でホームコートになっていないことだ」と語った。
「理由は分からないけれど、なぜか相手にとって厳しい会場にできていない」
ホームコートの成績アップには、チームのパフォーマンスももちろんだが、地元ファンとの一体感や、ファンの大歓声で相手の闘志をくじく雰囲気も必要になる。ポールは「チームのメンタリティが原因かもしれない。プレーしているのは僕たち選手だからね」と話し、自分たちに責任の一端があることを認めている。
「ファンの皆が声援を送りたいと思ってくれる何かを見せなければ。チームを支えてくれるだけの何かを僕たちが示さないといけない。ステイプルズ・センターでの試合を真の意味での『ホームゲーム』に変えて、相手にとって厄介な会場にしないといけない」
ジョーダンも、ホームでの戦績をチームとして改善する必要があると話した。
「たまに、ロードでの方が良い試合ができているように感じることがある。でも、それではダメなんだ。もちろん敵地で勝てるのは良いことだけれど、ホームで圧倒的なチームになって、その上でロードでも勝てるチームにならないといけない。今の傾向を変える方法を見つけて、ホームで勝てるチームにならないといけないんだ」
先述の通り、クリッパーズには経験も、戦力も揃っている。方針転換や、チームスタイルの変化など大きな部分ではなく、小さな変化こそ、カンファレンス決勝の舞台に勝ち進むために必要なことだ。ホームの要塞化もその一つ。ステイプルズ・センターがどのような城となるか、今シーズンはクリッパーズの『築城スキル』が試される一年でもある。