「双方が納得できる中間のやり方があると思う」
近年のNBAではスター選手が球団にトレードを要求することで、大型移籍が決まるケースが少なくない。
今シーズンで言えば、先月のトレードデッドラインに成立したジェームズ・ハーデンとベン・シモンズのトレードがそれに当たる。ハーデンは、開幕から思うようにいかなかったネッツのパフォーマンスに満足できず、優勝を狙うために退団を希望した。シモンズは昨シーズンのプレーオフ中に戦犯扱いされたことで球団との信頼関係が破綻してしまい、トレーニングキャンプ時期からチームへの合流を拒否。ようやくチームに合流したかと思いきや、メンタル面の不調を訴え、結局今シーズンは1試合もプレーしないままネッツにトレードされた。
NBAで21年も現役を続け、マーベリックス一筋のキャリアを送ったレジェンド、ダーク・ノビツキーは、スター選手によるトレード要求について『違和感』を抱いている。『SI』のポッドキャスト番組に出演したノビツキーは「バランスが変わりすぎてしまった」と持論を語った。
「スター選手のトレード要求は最近の傾向だね。確かに僕がキャリアをスタートさせた時期(1998年)は、選手側の力が十分ではなかったように感じていた。オーナー側に権力が集中していて、彼らが選手の移籍に関して決断を下していた。そのバランスが変わりすぎてしまったのかな。きっと、双方が納得できる中間のやり方があると思う。今は選手側が強硬な姿勢で退団を求めている。それもどうかと思う」
ハーデンとシモンズは一例で、直近ではカワイ・レナード、アンソニー・デイビス、カイリー・アービング、ジミー・バトラー、ラッセル・ウェストブルック、ジョン・ウォールを含む大型トレードも、選手側からの移籍希望をきっかけに実現した。
「僕は古いタイプの人間だから」と語ったノビツキーは、こう続けた。「選手についてどうこう言いたくはない。みんなそれぞれ自分にとって、そしてキャリアやブランドにとって何がベストなのかを理解している。今の選手にはそれぞれブランドがあるからね。それに彼らは、家族にとって何が最適なのかを理解している。僕にとっては、ダラスに残るのが最善だった。家族がいて、大好きな街だし、地元コミュニティの中で成長させてもらった。僕にとっては良い形だったんだ。もちろん、それが全員に当てはまらないことも分かっている」
キャリア13年目の2010-11シーズンに優勝を果たしたノビツキーだが、もし優勝できていなかったら、他チームへの移籍を考えていた可能性があったとも明かした。「キャリア終盤時期に、優勝リングを求めて違う球団でプレーしていたかもしれない。僕の中では、それが唯一(マブスから)移籍する理由になっていた可能性があった。でも、僕にとってはダラスが最高の場所だった。1年目に期待に応えられなかったのに、街の人たちは僕を支えてくれたからね」