「代表は昔から自分が追い求めてきた場所」
バスケ男子日本代表の新たな指揮官に就任したトム・ホーバスは戦術だけでなく、文化をも変えようとしている。それは日の丸を背負う覚悟や練習に取り組む姿勢など、様々な要素が含まれている。
ホーバスは若手中心のB代表で強化合宿を行った際、古川孝敏の名前を挙げてこのように選手たちに語りかけた。「古川選手は経験豊富だけど、練習の1時間前に来るんです。身体のウォーニングアップやメンタルの準備をするんですよ。彼のように真面目で経験のある選手をマネした方がいい。間違いないんです」
古川は「自分にとって当たり前のことをやっているだけ」と謙遜するが、最高のコンディションでいるべきという確たる理由があるからこそ、自己管理を怠らない。「自分にできることは最大限にやっていきたいと思っていますし、練習にしろ試合にしろ、常に良いコンディションでコートに立てるようにケアしています。選手としての準備をすごく大事にしてやっています」
また、古川は代表に必要な覚悟も持ち合わせており、さらには日常から世界を意識した生活を送っているという。「代表は昔から自分が追い求めてきた場所ですし、日本を背負って戦いたいという思いがありました。こうやってチャンスをもらえて戦えるのはうれしいことですし、大きなことです。自覚と言うか、その気持ちをしっかり持って戦っていきたい」
「今まで怠けていたというわけじゃないですけど、もっと自分にフォーカスしてやっていかないといけないと思いました。自チームでもやらなきゃいけないことがある中で、自分の気持ちを次に繋げていけるように、切らさないように意識してやってきました」
いよいよ今週末、日本はワールドカップ予選Window2の2試合を迎える。ホーバスは選手とチームの自信になることを理由に勝利を目標とし、内容よりも結果にこだわる姿勢であると語った。完敗を喫した中国戦で3ポイントシュートのアテンプトが増えたことを収穫に挙げたが、結果にこだわる以上、成功率を上げなければならない。古川は言う。
「自分のシュートを打てるチャンスをまず探していかないといけません。ただ受け身で立っていればいいわけじゃなく、自分たちのバスケットがある中でチャンスを作ったり、この流れだと打つチャンスが巡ってくるだろうなとイメージする。そのシチュエーションをイメージしながらシューティングをしたり、準備をしてきたので、イメージと練習を繋げられるようにやっていきたい」
もちろん、どんなに良い準備をしたとしても、それがそのまま結果に直結するとは限らない。それでも、指揮官が称賛するほどの準備を重ねてきた古川にはそんな不安を払拭させてくれる。「自分たちのバスケットを全力でコートで表現できるように、全員で一つになって戦っていきたい」と、2試合に向けて意気込む古川には期待しかない。