レイカーズに移籍したことでレブロン・ジェームズに起こるであろう『3つの変化』

2018/09/29
NBA&海外
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レイカーズ

写真=Getty Images

アイデンティティを作り上げることを重視

レブロン・ジェームスの加入により一躍注目チームになったレイカーズ。しかし、レブロン本人は盛り上がるファンを牽制するかのように、地に足を付けたコメントを発しています。若い選手の多いチームはプロセスを経て成長していくことが優先事項であり、レイカーズのチームとしてのアイデンティティを作り上げることを重要視しているのです。

またキャブスは、ゆっくりとした展開の中でレブロンを中心としたオフェンスが機能するような選手構成でしたが、レイカーズは早い展開を好み、そしてディフェンス面で特徴のある選手も補強しています。

しっかりとしたチーム作りをすること、選手の特徴がキャブス時代とは大きく違うこと。この2点からレイカーズとレブロンには変化が起こりそうです。

レイカーズに来たことでスタッツは落ちる?

昨シーズンのレイカーズは展開の速さが特徴で、リーグで2番目に速攻の得点が多いチームでした。その中心にいたのがルーキーだったロンゾ・ボール。ポイントガードながらリバウンドも強く、オープンコートを走る選手を誰よりも早く見つける視野の広さが多くの速攻を生み出しました。そんなロンゾと相性が良かったのがブルック・ロペス。身体を張ったディフェンスを厭わないロペスですが、反応が遅いためにリバウンドが弱いセンターでした。その結果、ロペスがボックスアウトをしてロンゾがリバウンドを取り、速攻へと繋げる形が機能したのです。

ロンゾに限らず全員がリバウンド意識の高いレイカーズは、個人で2桁を記録した選手がいなかったにもかかわらずチームとしてはリーグで2番目に多いリバウンド数を記録しました。一方、昨シーズンはキャリアハイのディフェンスリバウンドを記録したレブロンですが、ポイントガードまでも積極的にリバウンドに絡むレイカーズではリバウンド数を減らすことになりそうです。それはチームとして速攻を増やすためには重要な変化です。

ラジャン・ロンドが加わったことでレイカーズの速攻はより増えることが期待されますが、パスが得意なポイントガードが揃っても走る選手がいなければ速攻にはなりません。昨シーズンのレイカーズで速攻の得点が多かったのは、ジュリアス・ランドルー、カイル・クーズマ、そしてケンテイビアス・コールドウェル・ポープの3人でした。特にコールドウェルポープは走力に優れた選手で、パスが来なくても先頭を走ることでディフェンスを引きつければ、味方がターンオーバーすると素早くディフェンスに戻りピンチの芽を刈り取っていきました。早い展開が多いからこそ、ボールを持っていない選手の献身的な走りが重要なのです。

ベテランが多く展開の遅かったキャブスで実質的にポイントガードだったレブロンは、自分でボールを持ってコントロールするため、運動量が少ない一面がありました。レイカーズにはレブロン以外にも起点役になれる選手が多く、むしろオフボールで走ることが求められるかもしれません。つまり、レブロンに起こりそうな2つ目の変化はこの運動量の増加です。

相手チームからするとスピード、パワー、テクニックのすべてを最高レベルで持ち合わせるレブロンが走り、そこに正確なパスが出てくると止めるのは難しくなります。特に速攻のシチュエーションではマッチアップミスが頻繁に起こりヘルプにも行けないので、簡単にレブロンに押し切られてしまいます。速攻を武器に戦うならば運動量の増加は必須であり、レイカーズにとってもレブロンが走ればフィニッシュの確率が大きく向上しそうです。

若手を信じつつ、勝負どころではラストショットを

オフボールでのプレーが増えてくると、昨シーズンキャリアハイ9.1本を記録したアシスト数も減ってくる可能性が高くなります。すべてがレブロンから始まるオフェンスだったキャブスに比べ、昨シーズン中はロンゾがケガで離脱するとブランドン・イングラムにコントロール役を任せ、またサマーリーグではジョシュ・ハートがプレーメークの中心を担ってMVPを獲得するなど、レイカーズはプレーメーカーを育ててきました。

オフにはランス・スティーブンソンも補強しており、パスを出せる選手が揃ったことでチームのアシスト数は伸びるでしょうが、その分レブロンのアシスト数は減るかもしれません。同時にキャリアワーストだったターンオーバーも減って、効率的な得点をもたらすフィニッシャーの役割が中心になっていくはずです。

昨シーズンはこれもキャリアハイとなる18回のトリプルダブルを記録したレブロンですが、レイカーズではすべてを担う必要性が減り、個人スタッツを落とす可能性があります。それは33歳を迎えて肉体的な衰えが出始めるというよりも、チームが成長するためのプロセスを重視し、若いチームメートたちを信じて、彼らに積極的なプレーを促すためです。

一方で若いチームであっても、レブロンが加わったからにはこれまで同様の『将来有望なチーム』だけでシーズンを過ごすことは許されず、勝利も追い求めなければいけません。昨シーズンのレイカーズは5点差以内の試合が11勝11敗と五分の成績でしたが、同条件でキャブスは16勝8敗と大きく勝ち越しています。チームメートを信じてプレーに絡む機会を減らした反面、最後にチームを勝利に導く活躍こそがキャブス時代と変わらずレブロンに期待される仕事です。

レイカーズという全く違う環境に飛びこんだレブロンは、新たなチャレンジを喜んでいるようにも見えます。自分のプレースタイルを変化させることで若くて走るチームカラーにフィットし、これまでと同様にラストショットを決めてチームに勝利をもたらす。簡単ではなさそうな変化ですが、NBAの『キング』は何事もなく涼しい顔でこなしてしまいそうなので、本人のコメントは慎重であるにかかわらず、ファンの期待は高まるばかりです。