1巡目指名権と2つの2巡目指名権を得て、チーム再編へ
トレイルブレイザーズがデイミアン・リラードとCJ・マッカラムの体制を解体する場合、マッカラムのトレード先はニックスかマーベリックスかと見られていた。1巡目10位の指名を受けた2013年からブレイザーズ一筋で9年目、平均20得点を7シーズン連続で記録し、幅広いプレースタイルでどんな試合展開にも対応でき、ロッカールームのリーダーとして周囲の信頼も厚い彼は引く手あまただった。
その彼はラリー・ナンスJr.とトニー・スネルとともにペリカンズへトレードされた。ブレイザーズにはジョシュ・ハートとトーマス・サトランスキー、ニキール・アレクサンダー・ウォーカー、ディディ・ルサーダ、そして今年の1巡目指名権と2巡目指名権2つが譲渡される。
マッカラムは長くプレーしたブレイザーズに忠誠を誓い、「僕の望みはここでキャリアを続けていくこと」と公言していた。ただ、指揮官交代で臨んだ今シーズン、マッカラムは肺気胸を患い1カ月半の戦線離脱を強いられた。東京オリンピックに出場したことで万全のコンディションを整えられなかったリラードも古傷の腹部のケガで欠場中。両エースが揃わないブレイザーズは21勝33敗と大きく負け越しており、長く続いたリラード&マッカラム体制を崩すことを決断した。
ペリカンズは復帰の目処が立たないザイオン・ウイリアムソンが1試合もプレーしないまま21勝32敗、ブレイザーズより1つ上の西カンファレンス10位。ブランドン・イングラムがいれば19勝20敗だが、彼が欠場すると2勝12敗と、彼への負担が大きすぎるのは明らか。マッカラムはその負担を軽減できる。今の順位をキープすればプレーイン・トーナメントには進めるが、いずれにせよチームの管理を外れたところでケガをし、そのまま長期欠場を続ける『ザイオン問題』には遅かれ早かれ向き合わなければいけない。
ブレイザーズはリラードが今シーズンの残りを休養にあてる可能性が高い。すでにノーマン・パウエルとロバート・コビントンをクリッパーズにトレードしている。あとは『チームの顔』であるリラード放出という選択肢が残っているが、ブレイザーズはそこまでは踏み切れないだろう。複数の1巡目指名権とキャップスペースの余裕を作り出した今、これまで酷使続きだったリラードを身体のメンテナンスに専念させ、アンファニー・サイモンズを筆頭とする若い選手に経験を積ませ、来シーズン以降に備える。
31歳のリラードのコンディションは少々心配ではあるが、彼の契約はプレーヤーオプションの最終年を含めて2025年まで残っている。今こうして着手した再編が順調に行けば、NBA優勝を狙えるチームはまた作れるはずだ。