ブラッドリー・ビール慰留が最優先、八村塁にもトレードの可能性
ウィザーズは24勝28敗で東カンファレンスの11位に沈んでいる。ラッセル・ウェストブルックを放出し、スター選手の代わりに選手層を厚くするチーム編成は10勝3敗と開幕ダッシュに成功したシーズン序盤には大成功と見られたのだが、その勢いは長くは続かなかった。ケガ人と健康安全プロトコル入りする選手が増えたことが失速の原因だが、それはどのチームにもあるもので言い訳にはならない。12月に失速した後は、シーズン序盤に離脱していた八村塁やトーマス・ブライアントが戻っても復調のきっかけをつかめずにいる。
プレーイン・トーナメント圏外の11位ではあるが、ここから巻き返してプレーオフに進出するチャンスは十分にある。ただ、今のチームに大きな上積みが見込めないのは明らかで、プレーオフで勝ち上がっていくチームになれる可能性は見えない。そうなると2月10日のトレードデッドラインを前に何らかのトレードがあるはずで、それで今のチームは揺れている。
ウィザーズとしては、今シーズン終了後に契約最終年を破棄すればフリーエージェントになれるブラッドリー・ビールの慰留が最優先事項。一時期は思いが揺らぐこともあったようだが、今はウィザーズに忠誠を誓っており、このタイミングでトレードを直訴することはなさそうだ。ただ、今シーズン終盤の出来があまりにもひどく、ウィザーズの将来性に悲観するようになれば、フリーエージェントで何の見返りもなくチームを去る可能性がある。そうさせないためのチーム作りが、今のウィザーズには急務だ。
そのウィザーズで第一の放出候補となるのがスペンサー・ディンウィディーだ。昨シーズンに負った右膝前十字靭帯の部分断裂から復帰した彼は、ここまで12.8得点、5.8アシストを記録。ネッツ時代のパフォーマンスを取り戻せていないのは、大ケガからの復帰であることを考えると仕方のない面もある。『The Athletic』は、それよりもエースであるビールとのプレーが噛み合わないことが問題だというウィザーズ関係者のコメントを報じている。
モントレズ・ハレルもチームと自分の置かれた状況に満足していない。80得点しか奪えず完敗を喫したサンズ戦の後、「ここ8試合で7敗、みんなイライラしていて、ロッカールームの雰囲気は最悪だ」と怒りをぶちまけている。これは自らトレードを志願しているような言動だ。「チームとして戦う準備ができていないまま試合に入ってしまったけど、『エナジーを出せ』みたいな話は聞き飽きた。エナジーを出せないようなヤツはプレーする資格がない。みんなベストを尽くすことで金を稼いでいるんだろう?」
ウィザーズは若いチームで、29歳のダービス・ベルターンスと28歳のディンウィディーは大きな契約が残っているので交渉は簡単ではないが、ケンテイビアス・コルドウェル・ポープ、カイル・クーズマ、ブライアントや八村、デニ・アブディヤは引く手あまただろう。何らかの変化を求められる状況でウィザーズはどんな選択を取るのか。そこで良い選択肢を見付けられないようだと、このタイミングでビールを放出して全面的なチーム再編に向かう可能性もある。トレードデッドラインを前に勝利から見放されたウィザーズは、大きな岐路に立っている。