「たくさんの経験、学び、失敗がありました」
『GLOBALLERS』は、日本から世界へ羽ばたく若き才能を発掘し「世界と勝負できる日本人バスケットボール選手」を発掘、育成するプロジェクト。昨年はトライアウトを勝ち抜いたU15年代の選手でチームを作り、アメリカでキャンプを行いAAU大会に参加する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で計画の見直しを余儀なくされた。
国内での活動へシフトし、インターハイ王者の中部大学第一やウインターカップ王者の福岡大学附属大濠、さらには福岡第一、飛竜、東海大諏訪、北陸へと遠征して強豪チームとの対戦を重ねた。今年からはさらに活動の幅を広げ、同じadidasサポートチームである白鴎大バスケットボール部への遠征、U15トーナメント『第4回まぐろさんカップ』にも出場した。
それでも「海外への挑戦」という志に変化はない。神奈川遠征ではアメリカン主体のチーム『TOKYO SAMURAI U15』、横須賀のアメリカンチーム『Houdini’s Problems Basketball』と練習試合を行い、アメリカ人コーチとGLOBALLERSプロデューサーであるBANGLEEによる合同スキルクリニックも行われた。
Jr.ウインターカップで準優勝したKAGO CLUB(大阪)に所属する渡邊大翔は「この経験をできたのは日本で15人しかいません。本当に楽しかったです」と興奮気味に語り、『GLOBALLERS』の活動の価値をこう話す。
「素晴らしいプロジェクトだと思います。回数を重ねるごとに仲良くなって、良いプレーも必然と増えていきました。でもこのように選抜された中学生たちでも、ずっと一緒にやっているチームには負けてしまいます。個々の力を最大限に引き出すのがポイントガードの役割ですが、それがあまり上手くいかなかったので、高校では良いポイントガードになりたいです。このようにたくさんの経験、学び、失敗がありました。それに気づかせてもらった『GLOBALLERS』には本当に感謝しかありません」
「この環境や周りの人たちへの感謝の気持ちを忘れずに活動してほしい」
広島ドラゴンフライズU15の南川陸斗は、コーチ陣が海外を意識した指導をしていると感じたという。「日本だけを見ていない、質の高い世界基準の指導で、僕自身の基準も上げてもらいました。即席チームであるにもかかわらず、しっかりチームとして戦えたのはコーチ陣のおかげです。活動のたびに新たな動きや指示があるので遂行力もつきました。この活動を通して、IQとスキルのどちらも向上することができたと思います。印象に残っている言葉は、BANGLEEコーチが言っていた『それじゃあ俺がスティーブ・カーでも同じだぞ!』という言葉です。どんなチームでどんな監督でも、選手が遂行できなければ何も始まらないということを伝えてくれました」
アメリカの選手たちがどんなプレーをしているか、そのバスケに日本とどんな違いがあるのかを知るには、実際に体験するのが一番だ。西福岡中とライジングゼファー福岡U15に所属する内藤英俊は「アメリカの審判はドライブに行く時のつきだしのトラベリングをよく取ると思いました。試合時間も20分の2クォーター制で、やったことのないことばかりだったので良い経験になりました。観客の騒ぎ方も日本の観客とは全然違いました」と、まさに体験しなければ分からない学びを得たと語る。
この体験を若い世代の選手に与えて、将来の飛躍に繋がるきっかけを作ることが『GLOBALLERS』の価値となる。こうした新たな体験は、それぞれの選手たちの目標を明確にする。
「バスケだけやっていても絶対にNBA選手になれないと分かりました 」
Boogies Basketball Schoolに所属する長尾天は言う。「アメリカに行ってNBA選手になりたい。その目標が明確になりました。今までは何も考えずに『なれたらいいな』みたいに思っていたけど、そんな思いじゃなれるわけないと分かったし、バスケだけやっていても絶対にNBA選手になれないと分かりました。バスの移動中などで勉強をしてみたり、しっかりと勉強するようになりました」
そして、倉敷南中の古西太陽はこれから『GLOBALLERS』へ挑戦するバスケプレーヤーへこのようにメッセージを送った。「一回一回の機会で本当に良い経験ができるので、大切にしてほしいです。全国からトップレベルの人たちが集まるのでライバルではあるけど、コミュニケーションをしっかり取って、チームメートとして良いチームにしてほしいです。スポンサーの方からの提供品やGLOBALLERSの提供品、トップレベルのコーチの教え、これが当たり前ではないので、この環境や周りの人たちへの感謝の気持ちを忘れずに活動してほしいです」
新型コロナウイルスの感染拡大により、日本国内でも多くの大会が中止となり、部活動やクラブチームの活動も大きく制限されている。『GLOBALLERS』もまた世界的なパンデミックの影響を大きく受けて、選手を海外に送り出すことはできなかった。それでも2021年の活動を通じて、参加した選手たちには大きな刺激と学びがあったはず。ここで得たものをきっかけに、彼らには次のステージでさらに大きく飛躍してもらいたい。