ルカ・パヴィチェヴィッチ

「棄権は苦渋の決断で、チーム全体がメンタル的にダウンしていた」

アルバルク東京は1月22日、大阪エヴェッサをホームに迎え撃ち90-77で制した。第1クォーターに30失点と出だしでつまずいたが、それ以降は第2クォーター17失点、第3クォーター16失点、第4クォーター14失点と大阪の爆発力を封じ込める。そしてオフェンスではボールシェアを行い6人が2桁得点と、攻守でアルバルクらしさを存分に発揮する勝利だった。

オールスターブレイク明け初戦、後半戦の幕開けとしては理想的な勝ち方を見せたA東京だが、2022年は年明け早々の1月4日、川崎ブレイブサンダースとの天皇杯クォーターファイナル前日にセバスチャン・サイズの新型コロナウィルス陽性反応が明らかとなり、チーム活動の停止を余儀なくされる。後にザック・バランスキー、アレックス・カーク、ジョーダン・テイラーにも陽性反応が出る中、最終的にチーム活動が再開できたのは1月18日のことだった。

その結果、試合への準備ができないため19日に設定されていた天皇杯クォーターファイナルの再試合を断腸の思いで棄権した。陽性反応は不可抗力で致し方ないが、大きな衝撃であることは間違いない。それだけに今回の活動停止明け初戦で自分たちのバスケットボールを遂行し、勝利を収めたことには意義がある。

指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは、天皇杯の棄権に対してこう振り返る。「茨城との試合(1月2日と3日)を終え、川崎戦に向けて前日移動をした際、サイズ選手の陽性反応が分かりました。皮肉なことに(昨シーズンの3月末)デション・トーマス選手の陽性反応からチームが活動停止となりましたが、この時も川崎戦の前日に発覚しており、全く同じ状況でした」

パヴィチェヴィッチの下、A東京は2度のBリーグ制覇、アジアチャンピオンズ杯も制覇しているが、天皇杯のタイトルだけは獲得していない。それだけに「天皇杯は特別なトーナメントです。トラブルがあった中でも誰にも譲らない気持ちで臨む決意を持っていました」と強い意欲を持っていた。

チームの仕上がりにも好感触を得ていただけに、棄権はより大きな衝撃を与えた「3日で3試合と厳しい状況の中でも勝ち上がり、チームを良い形に作り上げてきました。茨城戦を終えてモチベーション高く、完成度としても良くなっていて、チームとして一番強い形で川崎戦をできるイメージがありました。棄権は苦渋の決断で、コーチ、選手、スタッフとチーム全体がメンタル的にダウンしているのを感じた時期でした」

だが、A東京は大きな喪失を乗り越え、リーグ制覇へと新たな歩みを進めている。当たり前だが、「最も重要なのは行われる試合に勝つこと」であるとともに、コロナ禍に直面したチームは次の舵取りも求められると指揮官は強調する。

「練習が十分にできていない中でも、いかにコンディションレベルを保つかが試合に向けて大事になります。プレータイムを計算して時間をシェアすることで、コンディションが万全でない選手にも極力ケガをさせないようにする。これをうまくマネージメントするのは簡単ではないですが、明日の試合もこれをこなして試合に勝ちたいと思います」

試合中止が相次ぐ中、各チームが予定通り60試合をこなすのは難しい情勢となっている。そうなると中でも大混戦となっている東地区の上位争いは、必然的に1つの勝ち負けの重みが増す。チーム活動が再開されたばかりとはいえ、地区優勝のためには連戦を1勝1敗ではなく、連勝して貯金を増やさないといけない。

コンディションに不安がある中、連戦の2試合でも引き続きディフェンスの強度を保ちディージェイ・ニュービルを軸とした大阪の爆発力あるオフェンスを防ぐことができるのか、今日の試合もA東京にとって大きな踏ん張りところだ。