宇都宮陸、丸山賢人、コンゴロー・ディビッドの2年生トリオを軸に、昨年のウインターカップでベスト8進出を果たした報徳学園。この3人が最上級生になった『勝負の年』のスタメンには、1年生のガードが加わっている。富士通レッドウェーブでヘッドコーチを務めるBTテーブスを父に、宇都宮ブレックスで活躍するテーブス海を兄に持つ、テーブス流河だ。自信満々でコートに立ち、自分らしさを明確に表現できるのは兄譲りの才能。新型コロナウイルスの影響で練習がままならない中でも、宇都宮陸という世代No.1のポイントガードと組むことで急成長している。「1年生という目線で見られるようなプレーはしたくない」と語る流河は、ウインターカップ優勝を目指すチームの主力としての自覚を、すでに持っている。
兄のテーブス海に「シュートなら勝つ自信があります」
──まずはテーブス選手の自己紹介からお願いします。
兵庫県神戸市生まれのテーブス流河です。中学は東京の実践学園で、U15日本代表とNBAアカデミーに選出されました。父の仕事の関係で小学校4年の時に神奈川に引っ越して、小6で千葉に行ってまた神奈川に戻って来て、実践学園には神奈川から東京まで電車で通っていました。ずっとミニバスをやっていて、一番印象に残っているのは千葉の旭町ミニバスなんですけど、引っ越しが多くて一つのチームでは長くても2年、いろんなチームでやっていました。いろんな場所のいろんなチームでやってきたので、その経験が今に繋がっているとは思います。
──ずっとポイントガードとしてプレーしていますか?
ポイントガードとシューティングガードのどちらでもできます。シュートには自信があります。
──お兄さんのテーブス海選手に取材した時、「流河はシュートは上手いけど僕の方がコントロールできます」と話していました。シュートでは海選手よりも上だという自信はありますか?
シュートなら勝つ自信があります。パスセンスとか身体能力では兄の方が上ですね。でも身体能力については、僕はまだ身長が伸びているので、今は海が上ですけど最終的にはまだ追い越せるかもしれないと思っています。高校に入学した時は180cmあるかないかだったんですけど、今は182cmか183cmです。190cmまで伸びたら良いんですけど、父も兄もデカいので可能性はあると思います。
身長と同じく身体も大きくなっていて、報徳にはウエイトルームがあるので週に4、5回はトレーニングしています。プロテインも飲むようになったし、ガンガン鍛えています。
──じゃあ最終的にはディビッド・コンゴロー選手のようにムキムキなマッチョになりますか?
コンゴロー選手は別格でトレーニングのメニューも別なんです(笑)。でも鍛える目標になってくれます。
「普段通りのプレーができるので合わせやすい」
──中学は東京でしたが、高校は地元に戻ることになりました。報徳学園を選んだ理由を教えてください。
いろんな選択肢があって結構迷ったんですけど、父や兄と話し合って決めました。レベルの高いチームでプレーしたいと思っていろいろ考えましたが、報徳学園の練習を見た時にここが自分に合うと思ったのが結局は一番です。練習を見せてもらって、選手個々のスキルレベルも高いですし、選手の個性を縛るチームもある中で報徳にはそれがなかったのが大きいです。
報徳は田中(敬)先生が前もって「こういうスタイルで行く」と決めているんじゃなくて、その代の選手を見てどんなプレースタイルで行くかを決めます。僕も自分の普段通りのプレーができるので合わせやすいです。田中先生の息子と僕は兵庫のミニバスで一緒だったので、先生のことはずっと知っていたんですけど、報徳学園の監督じゃなくて「友達のお父さんだな」ぐらいの軽い認識でした。本当に報徳学園に入るとは思っていませんでしたね(笑)。
──去年のウインターカップの時には報徳学園に入ることが決まっていたと思います。準々決勝で東山に接戦の末に敗れましたが、あの試合はどのように見ていましたか?
勝てたんじゃないかという印象でした。最後の最後まで分からなかったんですけど、どっちが本当に勝ちたいかの差だったと思いました。その時は自分が入ることは決まっていたので、自分がどういうポジションで、どんなプレーで合わせたらいいのかを考えながら見ていたので熱くなりました。すごく惜しい試合だったんですけど、自分がその差を埋められる選手になりたいと思いました。
──その報徳学園に入って、1年から主力として試合に出ています。強豪校で大役を任させるのは大変なのでは?
1年で試合に出るのはプレッシャーもあるんですけど、それに負けないように普段から日々努力しています。それに昔から僕はコートに立ったら年齢は関係ないと思っていて、父からも以前のコーチからもそう教えられてきました。先輩に対して適切な距離感は取らなければいけないかもしれないですけど、コート上では先輩方もみんな優しくしてくれるので、良い感じでできています。
──報徳学園には世代No.1のポイントガードと評価される宇都宮陸選手います。宇都宮選手との2ガードの感触は?
本当にバスケIQの高い選手なのでやりやすいです。陸さんと一緒にプレーすることで学べるチャンスがいっぱいあると思います。特にポイントガードの仕事はこんなこともあるんだ、ということをたくさん教えてもらえます。陸さんはピックの使い方が上手いのでそれを学ばせてもらっているし、自分が今までやってきたパスの選択肢のさらに先を見せてもらっています。
2人の役割分担は特に決まっていないんですけど、スタートで出る時は陸さんがポイントガードをメインでやって、僕がシューティングガードという意識です。いろんな面でサポートもしてもらっているので、僕としてはすごくやりやすいです。
「名前だけじゃないぞ、というプレーを見せたい」
──高校に入って周囲のレベルも上がったと思います。入学前に想定していたものと今の現状に違いはありますか?
違いはないですね。先輩方が合わせやすいように気を使ってくれているので、僕はだいぶ楽にやらせてもらっています。
──入学した時には新型コロナウイルスの影響で試合はできないし、練習も思うようにできなかったと思います。特に1年生の選手にとっては難しいのではないかと思いますが、不安はありませんか?
インターハイがなくなったので、そこだけでも経験の浅さが出るという不安はありました。でも9月を過ぎた頃から田中先生が毎週のようにいろんなチームとの練習試合を組んでくれたので、試合経験を積んでチームに合わせられるようにもなったと思います。当時も県外に出ることはできなかったので県内のチームとの対戦でしたが、大学生と試合ができたのは良い経験になりました。そこは自分には結構自信を持っているタイプだし、自分の実力を信じてやるしかないとも思っているので、今は不安はありません。
──自分の実力を信じてプレーする点は、お兄さんの海選手に似ていますね。
そうですね。自分に自信を持っていなければやっていけないので。もちろん、時には悪いプレーをしたり、ダメな試合もあって、その時にはへこたれることもあるんですけど、その分いっぱい練習して自信を取り戻して次に進む感じでやっています。
──ようやく公式戦ができるようになって、兵庫県予選を勝ち抜いて、ウインターカップ本大会です。どんな気持ちでこの大会を迎えますか?
めちゃくちゃ楽しみです。やっと全国の舞台でプレーできるという気持ちなので、本当に幸せですね。僕は1年生でスタートから出てプレーしますが、1年生という目線で見られるようなプレーはしたくないと思っています。
──それは「1年生にしては上手いな」とか「1年生なのに頑張っているな」という見方ですか?
そうです。プレーする以上は年齢は関係ないので、3年生の基準でプレーしてチームに貢献したいです。父や兄がいるので注目されるかもしれませんが、「名前だけじゃないぞ」というプレーを見せたいですね。シュートには自信があるので、きれいに決めきっていれば調子が良いのでそこを見てほしいです。報徳学園の応援をよろしくお願いします。