「僕自身も最後に誰で行こうかというのを最後まで迷っています」
サンロッカーズ渋谷は強豪相手の対戦が続いたこともあり、4勝6敗と黒星が先行している。飛躍した昨シーズンとメンバーも戦術も大きな変わりはないため、単純計算であれば成熟度が増し、昨シーズンと同等以上の成績が見込まれるはずだ。しかし、「戦績が物語っているように良くはないです。かといって、悪いかと言われたらそうでもない」と伊佐勉ヘッドコーチが語ったように、チームは不安定な状態が続いている。
他の苦戦しているチームと同様にケガ人が続いたこと、外国籍選手の合流が遅れたことが原因だが、一番の問題は強みであるはずのタイムシェアが機能していない点にある。勝利はしたものの、水曜日に行われた秋田ノーザンハピネッツ戦では最終クォーターにフィールドゴールが14本中1本のみの成功に終わった。
伊佐ヘッドコーチ自身も選手起用に迷いがあることを明かした。「しっくりきていないというのがあって、タイムシェアをするがあまり、実は僕自身も最後に誰で行こうかというのを最後まで迷っています」
タイムシェアは次々とフレッシュな選手をコートに送り出し、強度の高いディフェンスでペースを保つことができる戦術だ。しかし、一緒にプレーするチームメートのそれぞれの特徴を理解し、様々な組み合わせの中で最も効率的なプレーを選択するなど、高度なプレーレベルが求められる。
新加入選手にとって、即座にこのスタイルにフィットすることは至難の業だ。それはウォリアーズでNBA優勝を経験したジェームズ・マイケル・マカドゥであっても同じだ。マカドゥは10月24日の宇都宮ブレックス戦から出場し、3試合で平均10.3得点を記録しているが、期待値に見合うインパクトを残せてはいない。これは「走れていないですし40%くらい」と伊佐ヘッドコーチが言うように、コンディションが上がっていけば解決するかもしれない。だが、チームの中で機能するにはある程度の時間が必要で、ゾーンディフェンスを攻略できなかった秋田戦ではボールを持ったまま止まってしまうシーンが何度も見られた。
伊佐ヘッドコーチも「ゾーンの練習はしていない」と明かし、「いくつかゾーンオフェンスがあり、それを遂行しようとするあまり、横しか向いてなくて見事にハマってしまった。ゾーンオフェンスはまだ得意ではなく、他のチームもやってくるかもしれない」と語り、バイウィークでの向上を目指している。
それでも、クロスゲームを何度も落としていたSR渋谷にとって、迫られながらも一度も逆転を許さずに秋田戦を勝ち切ったことは大きい。伊佐ヘッドコーチも「こういった成功体験、ウィナーズメンタリティーをみんなで共有しながらブレずにやっていきたい」と言う。
幸か不幸か、クロスゲームを勝ち切り、マカドゥが合流したばかりのタイミングでシーズンはバイウィークを迎えた。SR渋谷が本当の意味で東の強豪になれるかどうかは、この期間の過ごし方が重要となる。
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