ビンス・カーター

「最後のシュートを決めることができて幸せだ」

ジャズのルディ・ゴベアに新型コロナウィルス検査で陽性反応が出た3月11日を最後に、NBAは長い中断期間に入った。その後の状況を見て、7月末から22チームでのリーグ再開が決まったが、ホークスはその中に含まれていない。

NBAで22年を過ごしたビンス・カーターは今シーズン限りでの現役引退を表明していた。ホークスと契約を結んで開幕を迎えた時点で42歳の彼は「全試合出場が目標」と抱負を語っており、実際は67試合中60試合の出場に留まったが、14.6分のプレータイムを得て5.0得点、2.1リバウンドと、息子のような年代の選手に混じってアグレッシブなプレーを披露し続けた。

そのカーターは『The Ringer』のポッドキャスト番組に出演し、正式に現役引退を表明した。

シーズン中断前の3月11日に行われたニックス戦が、彼にとっては現役最後の試合となった。1998年のドラフト全体5位指名を受けたカーターは、デビューシーズンが労使交渉が決裂してロックアウトとなりNBAデビューが大幅に遅れた。そして22年後、キャリアの最後は新型コロナウイルスの感染拡大により3月にシーズンが終わることになった。

最初も最後も不遇な形となったが、カーターは「これは仕方のないこと。多少はガッカリしているけど、僕のキャリア以上に重大なことが起きている。だから僕は、こんなキャリアの結末についても納得できているんだ」と話す。

彼にとって大きかったのは、最後のニックス戦の終盤に3ポイントシュートを決めていたことだ。自身の『ラストショット』を「あのシュートのおかげで救われた」と振り返る。「あのシュートがなかったら、心に何か引っかかっていただろう。もう少しだけプレーしたい、得点を決めたいという気持ちになっていたと思うよ。選手が現役最後の試合をプレーする時には、誰だって『最後のシュートは決めるぞ』と思うものだ。僕は実際にそれを決めることができたから幸せだ」

カーターは22年のプロキャリアで1541試合に出場した。これはロバート・パリッシュの1611試合、カリーム・アブドゥル・ジャバーの1560試合に続く歴代3位の記録で、今シーズンにジョン・ストックトン(1504試合)とダーク・ノビツキー(1522試合)を追い越した。また、NBAの歴史で初めて4つの年代(1990年代、2000年代、2010年代、2020年代)にまたがってプレーした選手でもある。

「僕は正式にバスケットボールから引退する。これからは家で過ごすし、ゴルフには行きやすくなるね」とビンスは言う。偉大なキャリアは予想外の形で終わってしまったが、彼自身が納得し、満足できているのであれば、それでいい。