若手に対し「A代表のレベルにはまだ至っていない」
バスケットボール男子日本代表は、7月に開催される『ウィリアム・ジョーンズカップ』の選手選考を兼ねた第2次育成キャンプを行っている。
今回から招集された張本天傑は練習を終え、「若手と一緒に合宿をすることはすごく良い刺激になっています」と感想を語った。
平均22.9歳と若手中心の参加メンバーの中では年長組に入る27歳の張本は「すごくアグレッシブに攻めてくるし、今日本が求めている高さと速さのバスケットがこういう若い世代に懸かっていると感じます」と、将来楽しみな逸材たちへの期待を語る。
だが、安定したプレーでチームに落ち着きを与える張本の目から見れば、粗削りなプレーが目立つという。「ヘッドコーチにもターンオーバーについて言われていて、ターンオーバーを減らすこと。あとは最後のフィニッシュが決められるかどうか。繊細さがちょっと足りないですね」
確かに若い選手たちは怖いもの知らずで、果敢にリングにアタックしていった。だが、タフな状況でも強引にシュートまで持ち込むシーンが多々見られ、精度は決して高くなかった。こうした状況を鑑み、張本は「A代表のレベルにはまだ至っていない」と指摘する。
4番で結果を残し、3番へのポジションアップに挑戦
今回の合宿はジョーンズカップの選考も目的としているが、若手の育成という側面も持つ。そのチームに自分が招集を受けた時には「俺?」と、正直に思ったという。というのも、「ジョーンズカップは大学2年生ぐらいの時から今回で5回目ぐらい」であり、A代表で実績を残している自分の出番ではないと感じていた。
それでも、こうした思いを胸にしまい、若手との競争をポジティブに捉え、張本は自身の技術向上に励んでいる。「ディフェンスとシュート。ある程度そこを極めれば結果に繋がってくると思っていて、ディフェンスには自信があります。あとは3ポイントシュート、ピック&ロールのスキルを徐々にレベルアップしていきたいです」
3番、4番を兼務できる張本の存在はサイズアップを図る代表の中でも貴重だ。そして、今までは4番での起用が多かったが、この合宿では3番へのポジションアップを目標に掲げている。それはA代表の指揮を執るフリオ・ラマスからの要望でもあるという。
「4番で出た方がディフェンスもオフェンスも流れが良かったので、4番でずっと使われていましたが、ワールドカップやオリンピックを目指すにはどうしても高さが必要になってくるので。エルマン(マンドーレ)を通して、ラマスヘッドコーチからはディフェンスをメインに3番で使いたいと言われました」
3番ポジション、つまりスモールフォワードであれば197cmの張本のサイズと万能性は大きな武器になる。これまでも何度も3番ポジションに挑戦してきたが、日本代表と名古屋ダイヤモンドドルフィンズでプレーヤーとして成熟度を高めることで、その取り組みは常にレベルアップしている。今回もギラギラと意欲的な若手たちの中に自らを置き、さらなる成長を見せる。その成果は近いうちにコート上で見られるはずだ。