記録のことは知らず「何が起こっているんだ!?」
現地11月27日、ヒートはホームでバックスとの接戦を106-103で制した。開幕から長らくケガ人続出に悩まされたが、先の試合でタイラー・ヒーローがシーズン初出場を果たし、今回はノーマン・パウエル、アンドリュー・ウィギンズ、ニコラ・ヨビッチも復帰。選手層に下支えされたハードワークが持ち味だけに、ケガ人続出の時期を13勝6敗で乗り切った意義は大きい。
試合を終えてロッカールームに戻った指揮官エリック・スポールストラは、選手たちから盛大に水を浴びせられた。彼は何のことだか分からず当惑していたが、この日彼はNBA通算800勝を達成していた。NBA史上17人目、1つのチームでこれを成し遂げたのはグレッグ・ポポビッチ(スパーズ)とジェリー・スローン(ジャズ)に続く3人目という偉大な記録だ。
会見場に姿を見せたスポールストラはまだ濡れていて、「何のことだか本当に分からなかった。カップ戦のグループ突破が決まったのかと思った」と苦笑する。「でも、それだったら全員で水を掛け合うはずなのに、ずぶ濡れなのは私だけだ。『待て待て、何が起こっているんだ!?』と思ったよ」
「記録のことは知らなかったから、実感はない。しかし、感謝祭の前にこの記録を達成できたのは素晴らしいことだ。ヒートに対してただただ深い感謝の気持ちがある。私はこの仕事が大好きで、素晴らしい時間を過ごしている。このチームで、素晴らしい選手やスタッフと働くのが大好きだ」
「昨シーズンのプレーオフではファーストラウンドで敗退し、長い休暇を取った。戻って来てからはスタッフ全員で、どうやってチームを良くしていくか本当に集中して話し合いを行った。このチームの選手とスタッフは本当の兄弟のような結び付きがある。選手たちは野心を持っており、我々スタッフは彼らをそれ以上の成功に導きたいと思っている」
昨シーズンのヒートは『ジミー・バトラー問題』に振り回された。長らくエースとして、チームの精神的支柱として絶対的な存在だったバトラーが契約問題でフロントと衝突し、チームをぶち壊すような振る舞いをしてシーズン途中に退団していった。ここ数年のヒートは間違いなく『バトラーのチーム』で、そこから新しい一歩をどう踏み出すかは非常に難しい問題だった。
しかし、今のヒートは可能性のあるチームとなっている。バトラーとのトレードで手に入れたウィギンズは絶不調の状態でヒートに加わったが、その彼をきっちりと戦力に組み込み、同じタイミングで加入したデイビオン・ミッチェルもチームに不可欠な存在となった。若手の成長により選手層も厚くなっている。
優勝を狙えるチームかと言われればパンチに欠ける印象はあるものの、ヒートはここからいくらでも変化できる。それが誰であれ手持ちの戦力のポテンシャルを信じ、成長へと導くスポールストラがいることで、成功の可能性はさらに高まる。
He really had no idea why 😂 congrats, Spo!
Unlocked // @RobinhoodApp pic.twitter.com/HeaeVeAroi
— Miami HEAT (@MiamiHEAT) November 27, 2025
