
ハートとロビンソン不在も11人ローテでキャブズを撃破
ジェイソン・テイタムとタイリース・ハリバートン不在の東カンファレンスで飛躍が期待される、ニックスとキャバリアーズが開幕戦で対戦した。キャブズはダリアス・ガーランドとマックス・ストゥルース、デアンドレ・ハンターを、ニックスはジョシュ・ハートとミッチェル・ロビンソンを欠き、ともにベストメンバーではない状況で、層の厚さが勝敗を分けた。
ニックスは主力選手にプレータイムを偏らせるトム・シボドーを解任し、新たな指揮官にマイク・ブラウンを迎えるとともにベンチユニットの層を厚くした。その効果はいきなり表れた。ジェイレン・ブランソンを始めとする主力のプレータイムは抑えられ、出場時間だけでなく負担もシェアされた。ガーション・ヤブセレやジョーダン・クラークソンなど新加入のベンチメンバーがきっちりと仕事をこなし、ハートとロビンソンの欠場を感じさせなかった。
キャブズはその逆で、ビハインドを背負う展開をエースの個人能力で取り返していく。第3クォーターにドノバン・ミッチェルは21得点を挙げ、劣勢の展開から一度はキャブズにリードをもたらすが、そこでエネルギーを使いすぎて第4クォーターは2得点と失速。ブランソンが終盤まで残しておいた余力を使う必要もなく、119-111でニックスが勝利を収めた。
ニックスのヘッドコーチとしての初戦で幸先良い勝利を挙げたマイク・ブラウンは「選手にはポゼッションゲームで勝つんだと伝えている。つまりフリースローのアテンプトとオフェンスリバウンドを足し、ターンオーバーを引いた数で相手を上回りたい。選手たちはそれを実行し、強いチームを相手にポゼッションゲームに勝った」と語る。
実際、ミッチェルの活躍で逆転された後にキャブズを突き放したのは、激しいディフェンスで相手のターンオーバーを誘い、トランジションでのイージーシュートに持ち込んだからだ。ブラウンは笑顔でこう語った。「シュートはいつも入るとは限らない。我々はディフェンスを軸とし、ポゼッションゲームに勝つんだ」
この試合でブラウンは11人の選手をコートに送り出した。そのうち10人が10分以上プレーし、最も短いトレイ・ジェミソン三世でも8分プレーした。「毎試合で11人の選手を使うとは限らないが、できるだけ多くの選手を試合にからませたい。いつ呼ばれても良いように準備をしておけ、と全員に伝えているよ」とブラウンは言う。
ニックスにとってはこれまでと異なるカルチャーだが、ブランソンは『変化』を前向きに受け入れようとしている。34分のプレータイムで23得点とスタッツは控え目だし、オンボールでプレーする機会も減ったが、そこに不満を感じてはいない。
「物事は決して同じにはならない。重要なのは学びと成長に前向きであることだ」とブランソンは言う。「ボールを持つのが誰であっても、積極的にプレーすることが大事だ。適切なタイミングで適切な判断をし、お互いの意図を感じながらプレーする。誰がボールを持つかは重要じゃない」
東カンファレンスのライバルになるであろうキャブズに開幕戦で完勝を収めたが、それでもブランソンはいつものクールな表情を崩さなかった。「どこが相手でも勝つことは重要だ。勝てて良かったけど、まだ1試合だ。まだまだ道のりは長い。学びと成長に注意を向けて、一歩ずつ進んでいくんだ」