ダリアス・ベイズリー

再建期のサンダーで主力の働きを見せた万能ビッグマン

ダリアス・ベイズリーは身長206cmと長身ながら細身で、213cmのウイングスパンと俊敏なフットワークを生かした攻守のバランスの良さが持ち味。2019年にデビューしたサンダーで主力を担い、3年目の2021-22シーズンには先発パワーフォワードに定着していたが、右膝の骨折でシーズン終盤を棒に振った。

ここから彼のキャリアは狂い始める。翌2022-23シーズンにはアレクセイ・ポクシェフスキーやジェイリン・ウィリアムズといった年下の選手に出場機会を奪われ、ドラフトされたこの年にはケガでプレーしなかったチェット・ホルムグレンも復帰するとあっては、ベイズリーの居場所はなくなってしまう。

どのポジションであれディフェンスでハードワークできる、今のサンダーに繋がる要素を彼は持ち合わせていたが、攻め気が強すぎてパスを出さずにシュートを打ってしまう判断の悪さ、ボールを持ちすぎるなどの悪癖が目立つようになり、2023年2月にサンズにトレードされた。サンズでは出番のないまま解雇され、2023-24シーズンはセブンティシクサーズとジャズを渡り歩くも、プレーするのはもっぱらGリーグとなった。

サンダーが圧倒的な強さを見せた昨シーズン、ベイズリーは中国でプレーした。だがまだ25歳で、自分のスキルを磨く努力を重ね、レイカーズの一員として出場した今夏のサマーリーグに再起を期した。「NBAに戻るのが僕の使命だ。チームの勝利に貢献し、自分がNBAにいるべき選手であることを証明したい」

「自分がNBAにいるべき選手であることを証明したい」

サマーリーグでの彼は印象的な活躍を見せた。俊敏なフットワークとウイングスパンを生かした粘り強い守備はガード相手にも効力を発揮していたし、プレー判断も向上。クーパー・フラッグの出場で注目されたマーベリックス戦で8得点11リバウンド3アシスト、2日後のペリカンズ戦では12得点10リバウンド4アシスト2スティール5ブロックと攻守に大暴れした。

NBAで5年のキャリアを持つベイズリーには2ウェイ契約を結ぶ資格がなく、通常契約でなければNBA復帰は実現しない。レイカーズにはロスター枠に空きがないが、ドリアン・フィニー・スミスの穴を埋める存在として、今後のトレードに絡めてベイズリーのために枠を空ける可能性はあった。そうならなくてもレイカーズ以外のチームで、彼に興味を示すチームは複数存在したはずだ。

しかし、それが過去形で語られるのは、サマーリーグでのアピールが不幸な形で終わったからだ。現地7月17日のセルティックス戦、鋭いスピンムーブからのフィニッシュという得意のプレーを試みた彼は、その途中で崩れ落ちた。そのまま立ち上がることができず、車椅子で運び出されることに。トーマス&マック・センターの観客はコートを去る彼に大きな拍手を送った。

ベイズリーの状態についていまだ何の発表もないが、軽傷でないのは明らかで、右足アキレス腱断裂の疑いがある。最高の努力をしていても結果が出るとは限らないし、非情な形で終わることもある。彼が希望を失わず、再びNBAにチャレンジすることを願いたい。