マーク・ウォルター

ロサンゼルスの2つのスポーツクラブを傘下に収める

ジェリー・バスがレイカーズのオーナーになったのは1979年のこと。それから46年間、2013年の彼の死を経てもクラブ運営はその子供たちに受け継がれてきた。

チームを誰よりも愛するバス家の家族経営がレイカーズをNBA屈指のブランドへと押し上げてきたが、今その体制が終わりを迎えようとしている。MLBドジャースのオーナーにして金融サービス企業グッゲンハイム・パートナーズCEOのマーク・ウォルターが、新たなオーナーになることが報じられたのだ。

ウォルターは2021年にレイカーズの27%を保有する少数株主となっており、その前にはレイカーズの本拠地であるクリプト・ドットコム・アリーナの運営会社の買収に動くなど、以前からレイカーズの運営に関心を寄せていた。

これまでバス家がレイカーズの株式の約66%を保有していたが、今後は15%の少数株主となる。ウォルターによる購入額は実に100億ドル(約1兆5000億円)で、アメリカのプロスポーツ史上最高額になる。

現在レイカーズの経営トップを務めるジェリーの娘、ジーニー・バスは「少なくとも数年は」引き続きフロントに残るという。ウォルターは2012年にドジャースのオーナーになった際も、それまでの経営陣を数年間は雇用し続ける『継続路線』を採用した。それと並行してフロントやスタッフの給与を引き上げて超一流の人材を登用し、練習場に最新の設備を導入し、スカウティング部門を拡大するなど積極投資を行った。またドジャースタジアムの改装にも大きな予算を投じた。

その結果、一時は破綻寸前だった古豪はMLBのトップ球団へと返り咲いた。昨年は大谷翔平を獲得する『超意欲的な投資』を行い、2020年に続くワールドシリーズ制覇を達成。今シーズンも快調な戦いぶりを見せている。

『古き良き家族経営』には限界がある。ドジャースのかつてのオーナーだったピーター・オマリーが「もはや家族経営の時代ではない」との言葉を残して球団を売却したのは1997年のこと。レイカーズはバス家によりクラブ運営の面でもNBA優勝17回という成績の面でも良い結果を残してきたが、ウォルターがドジャースを大成功に導いた手腕を見る限り、レイカーズのビジネスを次のレベルへと引き上げることが十分に期待できる。