
「チームメート全員の力に、僕は自信を持っています」
琉球ゴールデンキングスは、宇都宮ブレックスとのファイナルゲーム2を87-75で制した。試合は序盤からD.J・ニュービルの活躍で宇都宮のペースで進み、第2クォーター中盤には、琉球が14点のビハインドを背負う展開となった。しかし、そこから守備で粘って食らい付き、終了間際に荒川颯が値千金の3ポイントシュートを沈め、点差を1桁に縮めて前半を終えた。
息を吹き返した琉球は、後半に入ると得意のインサイドアタックでペースをつかむ。さらに、荒川颯が要所で得点を重ね、最終的に13得点をマーク。勝負どころで3ポイントシュートも決まり、宇都宮の堅守を攻略した。第4クォーターには24-11のビッグクォーターを作り出し、見事な逆転勝利を収めた
この試合、ここまでチャンピオンシップで3ポイントシュートが入っていなかった荒川が5本中3本成功と存在感を発揮。また、松脇圭志が後半に入って、得意のフィジカルを生かしたディフェンスでニュービルを苦しめた。さらに、セミファイナル第2戦、第3戦を足首の捻挫で欠場していたケヴェ・アルマが10リバウンドを記録するなど守備で奮闘し、ベンチメンバーの奮闘が光った。
その上で、エースとして勝負どころで見事な決定力を見せたのがヴィック・ローだ。フィールドゴール17本中8本成功の19得点のうち、第4クォーターでは5本中4本成功の10得点と抜群の勝負強さを見せた。
「とてもフィジカルな試合でした。修正しないといけないことがありましたが、ハーフタイムのロッカールームで『チームが一つになって戦おうと』と話し合い、それを実行できました。一つになることで、僕たちはスペシャルなチームになれます」
ローはこのように、勝因としてチームの一体感を強調した。また、荒川の大暴れについても「彼は素晴らしかったです。ゲーム1の後、少し落ち込んでいるように見えましたが、僕はみんなに自信を持ってプレーしてもらいたい。チームメート全員の力に、僕は自信を持っています」と語る。
また、前半の2桁ビハインドにも「動揺はなかったです」と冷静だった。「キングスにとって4年連続のファイナルですし、こういうことは起こります。ブレックスは良いチームで、連続得点を挙げる力があります。ニュービル、比江島は難しいシュートを決め切る力を持っています。苦しい時間帯が来るのは分かっていましたし、苦しい時に一体となって良いプレーができました」

「すべての試合で誰かがステップアップします」
今回の荒川に限らず、琉球はレギュラーシーズン終盤に無念の戦線離脱となった岸本隆一の穴を埋めるべく、チーム力で補ってきた。だからこそ、ローは「今日は颯で、すべての試合で誰かがステップアップします」と語る。
エースの自覚と責任を持ち、ローはクラッチタイムにおいて率先したシュートを打ちに行く。ビッグショットを絶対に決めるという大きな自信を持っているが、同じくらいチームメイトの力も信じている。
「キングスは僕やジャック・クーリー、岸本が活躍するだけのチームじゃないです。全員で勝ち上がってきたチームで、みんなが今日は自分が活躍する番という気持ちでコートに入ります。これは傲慢ではないし、それぞれが絶対に決めてやるという気持ちでシュートを打つ。それを常に求めています」
そして、誰もが活躍できるのは、レギュラーシーズンからそれぞれが力を発揮しやすい状況を模索し、全員バスケットボールを追求してきたから。桶谷大ヘッドコーチは「チーム全員、誰がどういう役割で出るのか理解しているからこそ、出てくる選手も気持ち良くバスケットができます」と語り、ローも「それぞれが得意なプレーができるように協力できている」と手応えを語る。
明日のゲーム3に勝てば琉球は、2年ぶり2度目のリーグ制覇、初のBリーグ、天皇杯の二冠となる。そしてローにとって、前所属の千葉ジェッツ時代とあわせ3年連続のファイナルで初のチャンピオンリングとなる。
ローは大一番に向け、こう締めくくってくれた。「2冠について、とてもワクワクしています。最初、千葉でチャンスがありましたが叶わず、沖縄で再びこの夢に届く機会を得られて本当にハッピーです。プレッシャーはありません。みんなが疲れていることは分かっていますが、そういったことは忘れて自分の全力を出し切るだけです」