タイラー・ヒーロー

攻守に奮闘もドノバン・ミッチェルのクラッチ力に屈す

東カンファレンス1位のキャバリアーズに挑むヒートは、敵地で連敗スタートを喫した。現地4月23日に行われた第2戦は、好調のデイビオン・ミッチェルをベンチスタートからスタメンへと抜擢し、試合開始からの6分で16-7と好スタートを切ったが、勢いは長くは続かなかった。早々に立て直したキャブズは25-24と逆転して第1クォーターを終えると、第2クォーターには長距離砲が火を噴き、3ポイントシュート16本中11本成功を含む43-27のビッグクォーターを作った。

それでもキャブズの3ポイントシュート攻勢が後半に失速すると、ヒートの反撃が始まった。タイラー・ヒーローがオフェンスを引っ張り少しずつ点差を詰め、第4クォーターにデイビオン・ミッチェルの2本の3ポイントシュートから始まる8-1のランを見せ、残り4分で99-101と1ポゼッション差に詰め寄る。

しかし、クラッチタイムにキャブズのエース、ドノバン・ミッチェルが決定的な働きを見せる。残り4分からの2分強、ヒートの徹底的なマークを受けているにもかかわらず4本のシュートをすべて沈めて10得点を稼ぎ出し、ヒートの反撃を退けた。

第1戦の30得点に続き、この試合でも30得点を挙げたドノバン・ミッチェルは「試合終盤で2点リード。何とかしなきゃいけない状況で、ああいう流れに持っていけたことを誇らしく思う」と、チームとしても彼個人としても勝負強さを発揮できたことを喜んだ。

一方でヒートは敵地で連敗スタート。指揮官エリック・スポールストラは「2試合いずれも接戦で、勝つチャンスを生かせなかった。第3戦を前にこの2試合を分析し、攻守ともにもっと良いプレーをしなければ」と語る。

ドノバン・ミッチェルのクラッチ力に屈した、と言ってしまえばそれまでだが、ここからどうアジャストしていくかがヒートには問われる。

アデバヨ「家に帰って何か美味しいものを食べよう」

デイビオン・ミッチェルの先発起用は、優れたディフェンダーである彼を入れた守備強化に加え、ヒーローとアンドリュー・ウィギンズに続く3つ目の攻めの起点を作る効果はあったが、一方でウィギンズはボールに触れる回数が減ってリズムに乗れなかった。バム・アデバヨは第1戦の24得点から第2戦では11得点のみ。キャブズは彼が3ポイントラインの外にいる時はマークを捨てたが、3ポイントシュートは5本中1本の成功に終わった。ケガ明けの若手にチャンスを与えたものの、ペル・ラーソンは2週間ぶり、ニコラ・ヨビッチは2カ月ぶりの実戦で、まだ試合勘を取り戻す段階だった。

ヒーローは33得点5アシストを記録。フィジカルの強いマックス・ストゥルースに終始マークされながらもオフェンスを引っ張ったが、ディフェンスでは徹底的に狙われた。「プレーオフでの負けに意味なんかないけど、映像を見てゲームプランを練り直し、学んだことを次に繋げていくことはできる」と、まだまだ勝利の可能性をあきらめてはいない。

そしてアデバヨは、ロッカールームの重苦しい雰囲気を払拭するようにホームで気持ちを切り替えるつもりだ。「家に帰って何か美味しいものを食べよう。そして2つ勝ちにいくんだ」

4戦先勝のプレーオフにおいて0勝3敗はほぼ敗退を意味する。もう余裕はないが、2試合いずれも手も足も出ない敗戦だったわけではない。課題は多いが、それはチームの伸びしろを意味してもいる。第8シードからのアップセットを狙うヒートは、どこまでも勝負をあきらめず、なおかつポジティブな考え方で、ホームでの第3戦に臨む。