今夏のフリーエージェント市場で注目株に?
トレードデッドラインが近づくと必ず話題になるのがジャズのジョン・コリンズですが、トレードが発生しないのも恒例行事です。ジャズが下位に沈んでいることもあり、トレード以外でなかなか話題になりませんが、今シーズンも質の高いプレーを続けています。
コリンズは30.6分のプレータイムで18.6得点を記録していますが、フィールドゴール成功の7割以上にアシストが付いていることから分かるように、個人で仕掛けて打開するのではなく、コンビプレーの構築やチームメートからのパスを引き出す巧みなオフボールムーブが特徴です。身体能力溢れる強烈なダンクでのフィニッシュから、ポジションチェンジしての3ポイントシュートまで堅実に決め、チームオフェンスの中でその能力が光る選手です。
ジャズのフロントコートにはラウリ・マルカネンやウォーカー・ケスラーがいるため、コリンズが自由にスペースを使えるわけではありません。それでもポジションチェンジを繰り返してディフェンスを混乱させ、自分が使うべきスペースを見いだします。この3人が同時にコートに立っている時のレーティングはオフェンスが118.0、ディフェンスが109.1と、最下位のチームとは思えない素晴らしい数字です。
ジャズがこのビッグマン3人を同時に起用できるのは、ガードからセンターまで守れるコリンズの守備面での万能性が前提にあります。スピードにもフィジカルにも対応し、マンマークからカバーリングまで幅広い役割を受け持つ『便利屋』であることもコリンズの特徴です。
ハンドラーの相棒として高確率のフィニッシャーにもなれれば、同じポジションの選手と同時起用も可能で、様々な役割をこなせる『便利屋』。このプレースタイルは間違いなく貴重なもので、NBA全体でもこなせる選手がそう多くありません。
だからこそジャズは大きな対価を期待するのですが、それだけのオファーが届かずにトレードが成立しないまま、再建チームにはもったいない質の高いプレーを続けている不思議な状況が続いています。
ジャズが59試合を経過した時点でコリンズはフィールドゴール成功率52.7%、3ポイントシュート成功率41.4%、フリースロー成功率85.5%を記録しています。ここからフリースローを90%に乗せるためには、最短でも連続75本成功しなければならず、『50-40-90』の達成は現実的ではありませんが、チームが苦しむ中でもハイアベレージを記録しているメンタリティも評価すべきもので、プレイヤーオプションとなっている来シーズンの契約を破棄すれば、フリーエージェント市場を沸かせる存在になりそうです。