東アジアスーパーリーグ(EASL)の2024-25シーズンには、Bリーグから昨シーズンのファイナル進出チーム、広島ドラゴンフライズと琉球ゴールデンキングスが出場する。いずれも10月16日に初戦を迎え、広島は香港イースタン(香港)と、琉球はメラルコ・ボルツ(フィリピン)とホームで対戦する。

上澤俊喜キャプテン「初戦を勝って次に繋ぎたい」

広島はこのEASLに向けた会見を行い、朝山正悟ヘッドコーチは「この大会に参加できるのは光栄なことですし、やるからには優勝を目指してやっていきたい」と意気込みを語る。「レギュラーシーズン中に試合がある難しさがありますが、それがチャレンジの機会になります。シーズン中の自分たちの成長を実感できる大会にできたらと思っています」

キャプテンとしてチームをまとめる上澤俊喜はこう続ける。「Bリーグチャンピオンとして出場させてもらいますが、チャレンジャー精神を持って、挑戦者として戦いたい。僕らにとって初めての経験で、それを経てチームとして成長していければ。もちろん、優勝を目標に掲げているので、初戦から一つひとつ勝っていかなきゃいけない。まずは初戦をしっかりと勝って次に繋ぎたいと思います」

優勝を目指して戦う中でも『成長』が重要なキーワードになる。それは広島が前年王者ではあると同時に、まだ伸びしろを残す若いチームだからだ。朝山ヘッドコーチはEASLが若手の次なる飛躍のきっかけになると期待する。「やっぱり若い選手たちが国際試合の経験から自分たちのキャリアのステップアップに繋げていく部分はかなり大きい。これができる選手はシーズン後半でチームにとって重要になってくると思います」

「不安要素をポジティブに変えて得た経験が力に」

それと同時に朝山ヘッドコーチは「広島というワード、このチームの名前をアジアの人たちに知ってもらう良い機会なので、アピールできるようなゲーム内容にしていきたい」と続ける。上澤も「昨シーズンのEASLでは千葉ジェッツさんが優勝して、日本のバスケが注目されています。今シーズンは僕たち広島ドラゴンフライズが『日本のバスケはすごいんだぞ』というのを、しっかりと戦うことで証明していきたい」と力強く語った。

過密スケジュールによる影響が懸念されるが、指揮官はプラスの部分を強調する。「不安要素としてスケジュール、移動距離や選手たちの環境面のところはあります。僕も若い時に海外を経験したのは必ずオフシーズンの代表活動で、シーズン中には経験したことがないんですね。ですが、そういった一つひとつの不安要素をポジティブに変えて得た経験が大きな力になると思っています」

「タフなスケジュールを言い訳にせずしっかり向き合って戦っていく集団にしたい。そこにチームとしての真の強さが出てきます。そこは自分自身が先頭に立って、キャプテンの上澤がみんなを引っ張って。それが自信に繋がれば、長いレギュラーシーズンの後半戦のどこかで必ず生きてくると思っています」

「この大会を勝ち抜くことでクラブが発展していく」

広島の代表取締役社長を務める浦伸嘉は、広島を本拠地に置くプロバスケットボールチームだからこその発信をする機会とEASLを位置付け、その期待をこう語る。「Bリーグができて8年目、2026年の『B.革新』を節目に大きく変わろうとしていますが、まだまだ発展途上です。日本一になって、その称号を引っ下げてチャレンジできるのは重要ですが、我々はバスケはもちろん、バスケを超えた活動もやっています。広島は国際平和文化都市であり、バスケを頑張るのはもちろん、広島にあることが非常に重要なポイントだと思っています」

EASLに参加することで、チームはもちろんクラブとしてもステップアップしなければいけないと浦社長は言う。「この間もフィリピンの会議に出たのですが、そこで東アジアのチーム、地域の方々とコミュニケーションが取れることが非常に重要だと感じました」

「今後、バスケのマーケットはまだまだ広がっていきます。試合をするだけではなく、テクノロジーの進化によって交流も深まっていくと思います。そのためにはコミュニケーションが取れて、現地の人たちと話をして調整していけるかどうかがすごく大事です。また、Bリーグではないレギュレーションの興行をやっていくことも当たり前にしていきたい。異なる大会をやることで我々の興行のレベルも上がっていきますから、それはB.PREMIERであったり我々の計画している新アリーナに必ず生きてきます」

クラブの様々な取り組みを広く発信するチャンス。それは試合だけには留まらない。「広島は『SLAM DUNK』の聖地でもあります。映画『THE FIRST SLAM DUNK』も広島が舞台で、ファンは多いのにアジアの方々はほとんど知らないんですよね。そのあたりもこのタイミングでしっかりお伝えしたいですし、それと同時にBリーグのファン・ブースターの方々にも、EASLという大会の魅力、この大会を勝ち抜くことでクラブが大きく発展していくことを伝えていきたいです」