バンケロは乗り気?「チームに貢献したい」
イタリア代表はヨーロッパ予選を突破し、来年夏に行われるワールドカップに出場する。イタリアは長らく低迷が続き、2006年の日本大会を最後に、2019年の前回大会までワールドカップ出場から遠ざかっていた。2019年大会は2次リーグ敗退となったが、東京オリンピックでは決勝トーナメント進出を果たし、今回も本大会出場と、安定して結果を残せるチームへと成長している。
ギリシャ代表のヤニス・アデトクンボやセルビア代表のニコラ・ヨキッチ、スロベニア代表のルカ・ドンチッチのような世界的なスーパースターを擁するわけではなく、チーム力で戦うのがイタリアのスタイルだが、来年のワールドカップは風向きが変わるかもしれない。今年のNBAドラフト全体1位指名を受け、マジックで活躍するパオロ・バンケロがいるからだ。
バンケロはイタリア系アメリカ人の父マリオと、アフリカ系アメリカ人でWNBAプレーヤーだった母ロンダの下に生まれ、高校までシアトルで過ごした。父のマリオもシアトルで育っており、バンケロとイタリアの繋がりはイタリア系の名前ぐらいしかないように思えるが、イタリア系移民の祖国愛は強い。それがバンケロに、イタリア代表の青いユニフォームを選択させようとしている。彼はイタリアとアメリカのパスポートを所有しており、自分の意思で代表チームを選ぶことができる。
イタリア代表を率いるジャンマルコ・ポッチェッコは、「せっかくワールドカップ出場を決めても、みんなに質問されるのはバンケロのことばかり。決めるのは彼だよ」と冗談混じりにボヤくが、近く代表スタッフを引き連れてオーランドへと飛び、バンケロとワールドカップ出場について話し合う。
それと同時に、マジックとも協議が持たれる予定だ。基本的にNBAの各チームは自分たちのタレントを代表チームに送り出すのを嫌がる。ダニーロ・ガリナーリがそうだったように、代表活動中にケガでシーズンを棒に振るリスクは取りたくない。オフはしっかりと休養を取り、翌シーズンの準備にあてさせたいのだ。
NBAのスター選手が代表活動に参加するのは、本人がよほど強い意志を持っている場合に限られる。ポッチェッコは今回、バンケロとマジックの意思を確認し、招集が可能となればチームを『バンケロ仕様』にシフトチェンジするつもりだ。それと同時に帰化選手のリクルートにも動くと見られている。
そんな中、当のバンケロが『FIBA.com』の取材に応じ、イタリア代表でプレーすることへの熱い思いを語っている。
「FIBAのバスケはすごく面白い。代表チームでプレーする選手たちを見るのも、分析するのも素晴らしいことだ。ユーロバスケットはすごくレベルが高く、満員のアリーナと観客の興奮は素晴らしかった。それに僕はアデトクンボやヨキッチ、ドンチッチの代表チームに懸ける情熱と愛情を見るのが大好きなんだ」
「イタリアはユーロバスケットでセルビアを倒して実力を証明した。『僕たち』はすごく良いチームで、未来は明るいと思うよ。代表チームでプレーするとなれば、僕はチームの一員として模範的な選手になると誓う。バスケはチームスポーツだ。チームが素晴らしい成果を出すのに貢献したい。そう思うだけでワクワクするよ」