「毎回負けるようなパターンで今日も負けました」
サンロッカーズ渋谷は1月8日、9日の川崎ブレイブサンダース戦を1勝1敗で終えた。
81-63で勝利した第1戦は、40分間を通してプレッシャーディフェンスを行い川崎から24ターンオーバーを奪うと、そこから29得点を挙げる『ディフェンスでの勝利』となった。
しかし、伊佐勉ヘッドコーチが「昨日と真逆の展開になってしまいました。向こうのフィジカルに押されて、昨日はできたプレーが簡単にいけなくなった」と振り返ったように、第2戦では逆に川崎の強度の高いディフェンスに圧倒されて22ものターンオーバーを犯し、60-86で敗れた。
東地区2位を走る川崎を相手に1勝1敗で終えたのは、決して悪いことではない。伊佐コーチも「プレー的には通用していると思う」としつつも、「メンタル的に成長しないと強いチームに2勝するのはほど遠い」と現状を語る。「まだいける点差でしたけど、選手のエナジーがなくなって違う方向にエネルギーが行ってしまい、毎回負けるようなパターンで今日も負けました」
こう語ったように、SR渋谷に反撃のチャンスがなかったわけではない。第3クォーターの序盤には24点差をつけられたものの、このクォーターの途中ではオールコートマンツーマンを仕掛けて川崎の勢いを止めかけた。しかし、伊佐コーチが「自分たちのゲームに持ち込んだ後に、相手に決められてしまってタイムアウトを取りましたけど、みんなあきらめている感じがしました。言葉やメンバーチェンジ、戦術でプッシュしましたが難しかった。一生懸命やっていないわけでは全くないんですが……」と振り返ったように、完全にカムバックするには至らなかった。
コーチも「ちょっとしたきっかけで上がるとは思う」としつつも、その『ちょっとしたきっかけ』をつかむことができずに、試合中の嫌な流れを断ち切れない現状を痛感している。そして冒頭で触れた「毎回負けるようなパターン」を、ゲーム中にそれぞれが感じているのだろう。だからこそ、伊佐コーチは「選手一人ひとり、僕も含めて、『またそういう時間帯だよ』というのを再認識すること。やることは明確にしているので、それをやりきるだけかなと思います」と続けた。
「崩れそうな時に立て直す力がもっと必要」
選手も指揮官と同じことを感じている。関野剛平は「川崎さんのディフェンスに押し上げられて、僕たちがスコアリングエリアでプレーできずにそのままズルズルいって、乗り切れないまま試合が終わりました」と振り返った。「川崎戦だけじゃなくて、もっと前の試合からそういう試合が多いです。点数が開いた時の修正がまだできていなくて、同じ展開に持って行かれています」
第2戦は反省が多かったものの、今シーズンはここまで18勝10敗と大きく勝ち越しており、特に4位の宇都宮ブレックスから6位のSR渋谷までは混戦状態で、一つのきっかけで浮上できる。シーズン半ばの時点で『点差が開いた時に立て直せない』という課題が明確になっているのは、あとは改善するだけなのだからプラスにとらえることもできる。
また、昨シーズンのSR渋谷はエースのライアン・ケリーが負傷離脱した際に負けが続いたが、今シーズンはケリー不在でもしっかり勝ち越せている。関野は「昨シーズンはずっとライアンに頼っていたシーンがあっての離脱だったので戸惑いがありました。でも今シーズンは、開幕戦はいたけどすぐにケガをしてしまったので、みんなの意識が最初から変わっていました」と、一人ひとりの意識の差を挙げた。
エースの不在を乗り越えた今シーズンのSR渋谷だが、先にも触れたように今は新たな課題に直面している。それでも目標を達成するためには、その困難を乗り越えていくしかない。関野は今後に向けてこう意気込んだ。「崩れそうな時に立て直す力がもっと必要なので、そういう時に全員で声掛けをして繋げていけるようにしたいです」