レブロン・ジェームズ

ここまで17勝22敗、プレーオフ圏外で足踏み

昨シーズンのプレーオフで東カンファレンスファイナル進出と躍進した若きホークスには、今シーズンも大きな期待が寄せられましたが、ここまで勝率5割を下回り、プレーオフ進出も危ぶまれる状況です。大きなメンバー変更もなく、コロナ禍でも力を発揮できるだけの分厚い戦力層を誇るだけに、ここまでの苦戦は予想外です。

シーズン当初はNBAのルール変更により、トレイ・ヤングが巧みなファールドローができず、さらにボールの変更が響いたのかシュートも決まりませんでした。しかし、10月に30%を下回っていた3ポイントシュート成功率は現在は38%を超え、見事にアジャストできています。

リーグ全体が苦労したルール変更の影響を強く受けたことで、シーズン序盤につまずきはしたものの、ルールに慣れる中で持ち味を発揮してきたエースの復調に伴ってチーム全体も向上し、オフェンスレーティングはリーグ2位を記録しています。スターター全員が2桁得点を記録しているだけでなく、3年目のキャメロン・レディッシュもベンチから2桁得点と活躍しており、若く伸びしろのあるチームらしく、勢いのあるオフェンスを見せています。

問題があるのはリーグ26位のディフェンスですが、ジョン・コリンズとクリント・カペラが並ぶインサイドはリムプロテクト能力があるだけでなく、セカンドチャンスを抑えるなどチームの強みになり、3ポイントシュートに対するディフェンスもリーグ中位程度で崩壊しているわけではありません。ディフェンスシステムそのものは形になっています。

問題は「集中力が足りない」という、精神面の脆さ。一つのディフェンスポゼッションにこだわって守り抜くことができないシーンが頻繁に出ています。自分たちがシュートを決めた後にディフェンスに戻るのが遅れ、あっさりとカウンターを食らったり、ディフェンスのピックアップが悪く簡単にミスマッチを作られたり。それぞれのマークに対しての寄せが少しずつ甘くてパスを回され、被アシスト数がリーグで3番目に悪い状況です。

ここまでのホークスは1桁点差の試合で6勝11敗と大きく負け越しており、競り負ける傾向もあります。それだけでなく、試合の中で一度2桁ビハインドになった試合では2勝19敗と、踏ん張れずに最後までズルズルといってしまう傾向があります。同じ状況でブルズが6勝8敗、ネッツが9勝11敗と、踏ん張って逆転へと持っていく試合で勝ち数を伸ばしており、精神面で大きな差があります。

昨シーズンのホークスはオフェンス中心のロイド・ピアースから、ディフェンスを優先するネイト・マクミランへシーズン途中にヘッドコーチを交代させたことで試合運びが安定し、躍進に繋がりましたが、ここまでは元に戻ったような戦いぶりです。健康安全プロトコルで欠場が多く、思うような戦い方ができない一面はあるものの、再びディフェンスを安定させ、リスクの少ない試合運びからオフェンスの爆発に繋げていく形を思い出す必要があります。

リーグトップクラスのオフェンス力は発揮できているだけに、一気に勝率を上げてくる可能性はあります。しかし、あまりにもあっさりと崩れてしまうため、この状況が劇的に変わる雰囲気はありません。選手のマネジメントが上手いマクミランが、再びディフェンスへの集中力を高めさせ、勝ちパターンを作っていけるのか。プレーオフで勝ち進んだ実績があるだけに巻き返しに期待したいところです。