準決勝まで平均35.5得点のユサフを徹底して抑え、速攻に持ち込む
Jr.ウインターカップ最終日。女子の決勝では四日市メリノール学院(三重)と京都精華学園(京都)が対戦した。
京都精華はユサフ・ボランレ・アイシャットが191cmの高さを生かしてリバウンドで強みを出すも、オフェンスに回るとメリノールの執拗なマークにリズムを乱し、シュートが入らずトラベリングとミスが続く。メリノールのディフェンスは徹底しており、常時ダブルチームで囲い込み、必要とあれば3人、4人で囲い込んでユサフにイージーな2点シュートを打たせなかった。
堅守速攻はディフェンスから。ディフェンスでリズムをつかんだメリノールは、稲垣愛コーチの「走るよ!」の声とともに鋭い速攻に転じ、エースの深津唯生が高確率で得点を重ねていく。京都精華は開始4分半でようやく初得点。思い切り良く放つシュートが決まり始めるも、それ以上のペースでメリノールの速い攻めが決まり、第1クォーターを終えて20-12とリードを作った。
第2クォーターになって深津がユサフのフェイスガードでパスも受けられなくなり、メリノールの勢いは一度止まるが、伊藤千寛や永福歩暖が強気で仕掛けてバスケット・カウントをもぎ取り、深津は外に開いて3ポイントシュートを沈め、京都精華のディフェンスを攻略。京都精華はディフェンスのギャップを突くミドルレンジのシュートで追うも、イージーシュートのチャンスを作れない。ポイントガードの井口姫愛にも3ポイントシュートが飛び出すメリノールの多彩な攻めが上回った。
縦パス一本でレイアップに持ち込むランニングプレーで突き放す
40-24で始まった後半もメリノールのペース。縦パス一本でそのままレイアップに持ち込むランニングプレーが次々と飛び出し、追い掛ける京都精華が狙う3ポイントシュートにもしっかり寄せて落とさせて、第3クォーターを終えて58-34、この時点で勝負を決めてしまった。
最終スコア77-51。準決勝まで平均35.5得点を挙げたユサフを13得点に、第3クォーターまでに限れば5得点と抑え込み、そこから速攻を繰り出したことが最大の勝因となった。稲垣コーチは「今年のチームには去年のようなサイズがないので、インサイドのディフェンスは徹底的に練習してきました」と語る。徹底したダブルチーム、それを仕掛けるために必要な運動量を確保するためにローテーションする選手の数を増やした。誰が出ても力を落とさず、走れるチームを作ってきた。「昨日の夜も京都精華さんの映像を見て、すごく良い選手なので最高のタイミングでダブルチームに寄れるように話し合いました」という対策が効いた。
これでメリノール学院は大会連覇。「日本で一番楽しんだチームだと思います」と胸を張る稲垣コーチは「私はずっと3年生と試合をやっていたいので、ここまでやれてうれしいです」と語るが、それとともに「一番最後まで試合ができた分、新チーム作りは一番遅くからのスタートです」と、早くも新チームでの戦いへ意欲を燃やし始めている。