膝の大ケガから復帰、ザイオンの代役として大活躍
前半を終えて45-67と22点差。ロケッツはケビン・デュラントとアメン・トンプソン、アルペラン・シェングンが2桁得点、出場した9選手すべてが得点を記録し、ペリカンズを圧倒していた。
ペリカンズではチームで最も高給取りの2人、ザイオン・ウイリアムソンとジョーダン・プールがケガ明けでベンチスタートとなり、前半は彼らがコートに立った時間帯でロケッツに圧倒されていた。タフなディフェンスで相手を締め上げるロケッツ相手では、いくら才能があってもコンディションが十分ではない選手は戦えない。
それでも後半に入ると、ペリカンズは立ち直り、延長に持ち込んで勝利した。「打ちのめされても立ち上がる。それはこのチームの素晴らしい特性だ。強いチームになるには逆境を跳ね返すタフさが必要で、我々はそこを目指している」と暫定ヘッドコーチのジェームズ・ボーレゴは言った。
2勝10敗の時点でウィリー・グリーンを解任。アシスタントコーチだったボーレゴが指揮を引き継いだが、その後も1勝12敗とチームは全く上向かなかった。しかし、ここに来てトレイルブレイザーズ、ブルズ、ロケッツに3連勝。わずか3だった勝ち星は1週間で6にまで伸びた。
これはNBAカップに伴う楽なスケジュールが要因となっている。ボーレゴ体制下での最初の13試合は23日間で消化され、チームを立て直そうにも練習する時間がなかった。しかし、その後の11日間で行われたのは3試合のみ。ボーレゴは2日間をオフにし、6日をチーム練習に使い、3試合に勝利した。ディフェンスのルール作りを見直し、トランジションの最初の一手となるプレーを整理した。その2つでチームは上昇気流に乗り始めた。
ザイオンは第3クォーター終了時点でプレータイム制限の20分に達し、その後は出場しなかった。しかし、現実的にチームは彼を必要としていなかった。本来エースが担うべき仕事をサディック・ベイが果たしたからだ。
There goes that man!! pic.twitter.com/PebBQJVvul
— New Orleans Pelicans (@PelicansNBA) December 19, 2025
ベイはキャリア5年目の一昨シーズンに前十字靭帯断裂の大ケガを負い、昨シーズンは全休。CJ・マッカラムを中心とする大型トレードの一部としてペリカンズに加入した今シーズン、ザイオン欠場時にパワーフォワードの先発を務め、1年半のブランクを感じさせない力強いプレーを見せている。
ロケッツ戦でのベイは前半こそ目立たなかったが、後半に15得点を挙げてオフェンスを引っ張り、延長でも6得点を重ね、試合を通して29得点を記録。「自分にできる仕事はすべてやって、チームに貢献したいと考えていた。ロッカールームの全員が僕を支えてくれた。1年半バスケができないのは本当に辛かったけど、そこで謙虚であることを学ぶことができ、長期的に見れば自分にとってプラスになると思っている。今の僕はプレーできることを当たり前だとは思わない。だからこそ周囲のサポートに感謝できる」とベイは語る。
ザイオン抜きで勝つと「ザイオンは不要」といった見方をされるが、ベイはザイオンにも感謝の言葉を忘れなかった。「ザイオンとJP(プール)はチームのリーダーであり、ベンチからでも大きな後押しを与えてくれた。JPはコートに戻ってクラッチフリースローを決めているしね。ザイオンはコートにいると常に4人がかりで守られるような特別な存在だけど、コートに立っていない時でさえ最高のチームメートだ」
ベイの感謝はなおも止まらない。「25点差をひっくり返すには信じられないエネルギーが必要だった。ホームゲームでなかったら勝てていなかったと思う。1ポゼッションごとに戦う力をファンのみんなからもらった。ホームの後押しがあったおかげで、最後の最後に必要となるパワーが残っていたんだ。シーズン序盤の最悪の時期でさえ僕らに声援を送ってくれたニューオリンズのみんなが大好きだし、心から感謝しているよ」
ロケッツでは、ケビン・デュラントが43分間プレーし、フィールドゴール15本中12本成功という驚異的な効率の良さで32得点を記録したが、勝利には届かなかった。試合後、デュラントは自分のユニフォームをベイに手渡している。
デュラントとベイは同じメリーランド州の出身。デュラントとのユニフォーム交換について、ベイはうれしそうにこう答えた。「実は2年前に僕のユニフォームを彼に渡していたんだ。なのに彼のユニフォームを全然くれなくて、今日は『そろそろくれよ』って言いに行ったら『分かったよ』と渡してくれた。地元の英雄である彼とプレーして交流できることで、頑張ってきて良かったと感慨深い気持ちになるよ」
