指揮官は「リッキー・ルビオ効果は彼以外の誰にも発揮できない」
キャバリアーズは慌ただしい年末を過ごした。12月28日のペリカンズ戦でリッキー・ルビオが左膝前十字靭帯断裂の大ケガを負い、今シーズン絶望となった。12月31日に、キャブズはデンゼル・バレンタインとのトレードでレイカーズからラジョン・ロンドを獲得している。
それでも、ヘッドコーチのJ.B.ビッカースタッフはこう釘を刺した。「ルビオはこのチームのリーダー、精神的支柱であり、彼のプレーへの情熱が、そのままこのチームの力になっていた。『リッキー・ルビオ効果』は彼以外の誰にも発揮できない。我々がやるべきはルビオの穴を誰かで埋めるのではなく、全員で前に進むこと。その精神をチーム全体が持つことだ」
2月に36歳になるロンドが即戦力としてどれだけ働けるか、現時点では未知数だ。NBAキャリア16年で優勝2回、オールスターに4回選出された実績は十分だが、今シーズンはレイカーズで18試合に出場、16.1分のプレータイムで3.1得点、3.7アシストのスタッツを残しているものの、チームに良いインパクトを与えられていたとは言い難い。レブロン・ジェームズとラッセル・ウェストブルックがボールを持ちたがるチームでロンドの役割は限定されていた。
ロンドは昨シーズン後半に所属したクリッパーズでも力を発揮できなかった。ホークスから加入し、レギュラーシーズン後半戦はそれなりの結果を残したものの、肝心のプレーオフで失速。と言うより、チーム内で信頼を勝ち取ることができず、『プレーオフ・ロンド』と呼ばれる4戦先勝の舞台での勝負強さを発揮する場もなかった。
今のキャブズにはガードが足りない。ルビオの前にコリン・セクストンもケガで欠いており、ダリアス・ガーランドとアイザック・オコロ、ルビオの3人でバックコートを回していた。ロンドがこのローテーションに加わっても、13.1得点を挙げていたルビオのような得点力には期待できない。かつての身体的強さを失ったロンドでは、ディフェンスの上積みもさほどないはずだ。
それでも、エバン・モーブリーとジャレット・アレン、ラウリ・マルカネンにケビン・ラブとタレントの揃うフロントコートの力を今まで以上に引き出すという点で、ロンドのゲームメークには期待できる。ピック&ロールからそのままアリウープを狙う、いわゆる『ピック&ロブ』はロンドの得意とするところ。そこでの呼吸の合わせ方、相手ディフェンスとの駆け引きで円熟のプレーを見せてもらいたいところだ。
もっとも、ロンドが機能してもなおキャブズのガード陣の層は十分ではなく、ここからトレードデッドラインに向けて補強は不可欠だ。今は20勝16敗で東カンファレンス5位。ルビオのケガを機に失速するのか、適切な補強でチーム力を保ち、レブロン時代以来となるプレーオフ進出を果たすのか。今すぐに結果を求めるチームではないにせよ、若手にとってプレーオフを経験することには大きな意味がある。その点でも、ロンドは若いチームの良い『指南役』になれるのかもしれない。