米須玲音

第4クォーターにわずか7得点と失速、延長に持ち込まれて敗れる

インカレ男子ベスト8の日本大学と筑波大学の一戦は、ダブルオーバータイムまでもつれる激闘の末に筑波大が81-78で勝利した。第4クォーターでわずか7得点と失速した日大にとっては、痛恨の逆転負けとなった。

日大は第1クォーターにデイビッド・コンゴローがオフェンスリバウンドをもぎ取るなど、ゴール下を支配することで主導権を握り、前半で2桁のリードを奪う。第3クォーター途中で3点差に詰められるが、ここで米須玲音のピンポイントパスにより走る展開に持ち込み14点差と突き放す。しかし、第4クォーターになると二上耀のドライブ、井上宗一郎の3ポイントシュートを軸とした筑波の反撃を止められない。オーバタイムでは先手を取られる流れとなり、米須のレイアップでダブルオーバータイムに持ち込むが、それが限界で力尽きてしまった。

1年生ながら39分35秒の出場で9得点6リバウンド3アシストと奮闘した米須は、試合をこう振り返る。

「ディフェンスから圧をかける自分たちのペースで、リードする形で前半を終えました。第3クォーターもリードしましたが、第4クォーターで二上さんが連続得点を取った時、相手に流れが傾いてしまいました。ガードとしてはあの場面で、1本相手のオフェンスを切れれば、自分たちのペースで試合を進めることができました。そこはしっかり反省して、次に生かしたいです」

自身のパフォーマンスについては、特に4本中1本成功に終わったフリースローのミスを悔いた。「オーバータイムに入る前のフリースローを2本とも決めていれば、第4クォーター終了時点で勝つことができたと感じています。自分の中で、そこを一番反省しないといけない。接戦の大事なフリースローを決められるメンタル作りをしていきたいです」

米須玲音

「自分だけで攻めてしまい、チームプレーができていなかった」

インカレはシーズンの集大成となる大会であり、だからこそ4年生の力がより大事になると言われる。実際、筑波は二上が20得点、井上が22得点と、4年生の「ベスト8を大学ラストゲームにしない」という強い気持ちからくる攻めの姿勢が逆転の原動力となった。一方、日大は米須、コンゴローの1年生コンビが軸となる若いチーム。「筑波大学さんは4年生も多く、そこの圧にやられた部分も自分として大きく感じるところがありました」と、米須も4年生の気迫に飲まれてしまったと言う

同時に米須は「学年は関係ない」と、それを決して言い訳にはせず自らを責めた。

「相手が4年生だろうと、もっと自分が立ち向かえていたらこういう結果になりませんでした。学年は関係なく、受け身になってはいけないです。ガードはチームをまとめるのが大切だと思っています。競った時にその部分で、自分から声を出したりする部分が足りなかったです。1年生というのは関係ないです」

また、延長ではゴール下へと何度もアタックし、再延長にもちこむ値千金のレイアップを決める勝負強さを見せた。ただ、それでも司令塔として、チームオフェンスを上手く展開できなかった後悔の思いの方が強い。

「オーバータイムでは積極的に攻めていかないと負けてしまいます。そこでドライブが何本か決まったのは自分としては良かったですが、自分だけで攻めてしまいチームプレーができていなかった。そこが筑波大学さんとの違い。筑波さんはセットプレーからノーマークを作ってシュートを打てていました。そこを学ばないといけないです」

米須玲音

司令塔としての後悔「どこかしらに甘さがありました」

昨年、東山高校の大黒柱としてファンを魅了した米須は、大学バスケでも1年生にしてコート上で大きな輝きを放った。今シーズンを次のように総括する。

「最初は春のトーナメントに優勝して、大学でやれないことはないと自信を持つことができました。リーグ戦は東海大学さんに負けて2位で終えましたが、良い形でインカレを迎えられたと思います。ただ、ベスト8止まりでした。何かしら甘さがあった、リーグ戦からインカレの期間で何かが足りなかったのは分かったので、それを来年に繋げていきたいです」

端から見れば米須は、1年生ながら傑出したパフォーマンスを見せた。だが、本人にそういった充実感はない。それは試合後の取材対応に、目を赤くして現れたのが何よりの証拠だ。

「どこかしらに甘さがありました」と司令塔としてチームを勝利に導けなかった後悔と悔しさのみが今の米須の心を占めている。この自らを厳しく律する心構えは、彼をさらなる高みに導く力になるはずだ。敗れてもなお、米須の大きな可能性を感じることができた今日の試合であり、試合後の振る舞いだった。