30分を超えるプレータイム「レジェンズを選んで正解だった」
昨シーズンにオーストラリアのメルボルン・ユナイテッドでプレーした馬場雄大は、新天地にNBAマーベリックスの下部組織、テキサス・レジェンズを選んだ。
2年前にレジェンズでプレーした際は、41試合に出場し平均19.8分のプレータイムで、6.3得点、2.5リバウンド、1.3アシスト、1.0スティール、3ポイントシュート成功率41.1%を記録。すでにチームからの信頼を勝ち取っている今シーズンはここまで8試合すべてに出場し、平均31.5分のプレータイムを得ている。プレータイムの増加に比例して軒並みスタッツを伸ばし、平均12.5得点、フィールドゴール成功率54.7%、3ポイントシュート成功率41.2%、5.3リバウンド、1.9アシスト、1.8スティールと素晴らしい数字を残し、チームも6勝2敗と好調だ。
馬場はシーズン開幕前にディフェンスと3ポイントシュートを主な役割とする『3&D』ではなく、よりオールラウンドなプレーヤーになりたいと話し、得点は最低2桁を目標にしていた。まだ8試合を終えたのみだが、有言実行の活躍を見せており、馬場も「レジェンズを選んで正解だった」と手応えを感じている。
「すごく良いコンディションでプレーできていますし、ケガ人や2ウェイ選手のコールアップがあるいろんな状況の中で、コーチが信頼してくれていることが自信に繋がっています」
自身への信頼はコーチへの信頼にも繋がる。馬場はこの相思相愛の関係性があるからこそ、遂行力を一番大事にしているという。「エクスキュートですね。バスケは5人でやるスポーツで、相手にものすごい選手がいても5人で守れば守れないことはないです。監督が求めていることをいかに実行するかを意識していますし、それが日本人である僕の強みでもあります」
こうしてチームと良好な関係を構築し、自然体でプレーできているからこそ、「こうしてレジェンズでプレーさせてもらっていて、今のチームでやるのがすごい楽しい」と馬場は言う。
NBAに固執しない、馬場に生まれた心境の変化
馬場は「NBAに一番近いのがGリーグ」という理由から、レジェンズでのプレーを選択した。だからこそ、結果を残しコールアップされることが一番のミッションとなるが、馬場の心境に少しの変化が生まれている。それは『NBA選手』に固執しないということだ。「シーズン前はいかにNBA選手になるかということをずっと考えていたんですけど、今ある環境を楽しみながらそこに集中しすぎずにやれています。NBA選手になりたいということに執着しすぎず、自分のベストをどう伸ばしていくかを意識してやっている状況です」
こうした心境の変化は、自分自身にプレッシャーをかけていたことで100%の力を発揮できていないことに気づいたから生まれた。「NBA選手になりたい執着があると、試合で活躍しなきゃいけないというプレッシャーを自分でかけることになります。そこで思ったようなプレーができなかったり、一瞬の判断の中で普段できていることができなかったりすることがあると思い始めたんです。今の状況に満足してプレーすることが自分の最大限の可能性を引き出す良い要素なのかなと思いました」
自分にプレッシャーをかけてモチベーションを上げ、良いパフォーマンスができる者もいれば、自然体を貫き余計なプレッシャーから解放されることでベストパフォーマンスを発揮できる者もいる。馬場は自分が輝くために最も適した方法を見つけたのだ。
NBAに一番近いGリーグでNBA選手に執着しないというのは、矛盾が生じているように思えるが、馬場の根本は変わっていない。「(NBA選手を目指す)将来は決まっているので、そこまでにどういう道のりをたどるかだけです」。自然体でGリーグ2シーズン目に挑戦中の馬場がNBAでプレーする日が来るのを心待ちにしている。